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2009年5月17日 (日)

世襲議員による吉田・鳩山戦争の再来か?

民主党の新代表に、鳩山由紀夫氏が選出された。
まあ、大方の予想の通りで、ハプニングは起きなかったと言えるだろう。
という意味では、民主党は大きな機会損失だったと言えよう。
選挙日程を含め、世間の耳目を集める絶好の機会だったはずである。
みすみすその機会を見逃したのだから、本気で政権交代をする意欲があるのか、という疑問が湧いてくることも否定できない。
ともあれ、この結果により、間近に迫っている総選挙は、麻生太郎氏を党首とする自由民主党と、鳩山由紀夫氏を党首とする民主党が、政権を争うという図式になることは間違いないだろう。

この図式から、60年以上も前の吉田茂元首相と鳩山一郎元首相の争いのことを想起する人も多いだろう。
周知のように、麻生太郎氏は、母親が吉田茂元首相の娘であるし、鳩山由紀夫氏は、鳩山一郎元首相の孫である。
祖父の世代の争いが、再現されるように見えることを、果たしてどう考えるべきか?

折しも、議員の世襲制限が話題になっている。
私は、政治家の資質にもDNA的な要素があると考えるものであり、世襲だから不可、ということは言えないと考える。
しかしながら、小泉純一郎、安倍慎三、福田康夫、麻生太郎というここ数年の歴代首相が、すべて世襲の政治家であることについては、やはり疑問を感じざるを得ない。
要するに、日本社会の構造に流動性が失われているということだろう。
社会構成が固定化してしまっている社会は発展のダイナミズムを失うことになるのではないか。

吉田・鳩山時代を振り返ってみよう。
第二次大戦(東亜・太平洋戦争)の敗戦後、政党再建の態勢が比較的早く整ったのが、日本自由党と日本社会党だった。
日本自由党は、「保守本流」を目指して結党され、戦前の政友会のメンバーで、大政翼賛会に加わらなかった鳩山一郎や芦田均らが中心となった。
1946年の総選挙で、日本自由党が第一党となり、鳩山一郎を首班とする連立内閣が組閣されようとした。
しかし、鳩山一郎が戦前からの政党人であり、特に京都大学の「滝川事件」の際の文部大臣だったことなどから、GHQは鳩山一郎を公職追放処分にした。

その結果、鳩山一郎は、止むを得ず英米協調派の外交官として知られていた吉田茂に政権を譲った。
この際に、鳩山一郎が追放解除になった際には、いつでも総裁を鳩山一郎に渡すという密約があった、という説があるが真偽は不明である。
政権を担当した吉田茂は、ワンマンと呼ばれる体制を構築し、連合国との講和を果たした。
吉田茂のワンマン的政権運営が可能になった条件として、次の2つがあげられる。
1つは、外交官としての履歴の中で、占領軍とのパイプを築いたこと、もう1つは、池田勇人、佐藤栄作などの官僚出身を抜擢したことだった。
池田や佐藤は、いわゆる「吉田学校」の優等生として、戦後政治の重要な担い手となる。

占領終了により、吉田のアメリカとのパイプが細くなる一方で、追放解除によって、鳩山一郎、岸信介、重光葵、石橋湛山らが政界に復帰することになった。
しかし、鳩山一郎は、追放解除の直前に脳溢血で倒れ、吉田は、鳩山に総裁を譲るという約束を反故にしてしまった。
その結果、吉田系と鳩山系の間で、人事などをめぐる争いが激しくなっていく。

鳩山系の力に押されるようになった吉田首相は、抜き打ち的に衆院解散に打って出る。
総選挙で、追放解除組は日本自由党に復党して選挙活動を行うが、吉田は、河野一郎、石橋湛山という2人を、反吉田演説を行ったという廉で、除名処分にする。
しかし、総選挙の結果、鳩山系の勢力が伸長し、党内に「民主化同盟(民同)」を結成し、抗争はさらに激化していく。

1954年に、政界を揺るがす造船疑獄が発生する。
検察庁は、幹事長だった佐藤栄作を収賄容疑で逮捕する方針を決定した。
しかし、犬養健法相は、指揮権を発動し、佐藤藤佐検事総長に、逮捕中止と任意捜査を指示した。
この指揮権発動は、吉田首相の意向を受けたものだった。

この事件を契機に、鳩山一郎や岸信介らの戦前からの実力が政界に重きをなすようになる。
1954年秋に、鳩山派と改進党が新党結成で合意し、日本民主党が結成される。
暮れには鳩山内閣が成立し、翌年の総選挙で日本民主党が第一党を確保するものの、左派社会党の勢力が伸長し、左派主導で左右社会党が統一すると、保守も、自由党と民主党が合同し、いわゆる「55年体制」が成立して、戦後政治の枠組みが固まることになった。

戦後の混乱から復興の時代へ、良くも悪くもダイナミックな変化の時代だったと言えるだろう。
それに比べ、孫の世代は世襲が常態化して閉塞してしまっているようにも見える。
その閉塞感を突破するために、野党への期待は大きい。
その辺りの空気を、新執行部がどこまで汲み取ることができるか?
政権交代のカギはそこにあるのではないだろうか。

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コメント

はじめまして。長文になりますが、一読お願いします。

管理人様は、民主党に政権交代すれば、どのような法案や政策を行おうとしているかについてご存知ですか?
http://www36.atwiki.jp/support5482/pages/16.html
オランダが、外国人参政権を行った結果、今大変なことになっていることはご存知ですか?「オランダ 外国人参政権」で検索してみて下さい。

私は、民主党に一度政権を任せてもいいかなとかつては思っていました。でも、それは色々と調べていくうちに変わりました。マスコミは 民主党がどんな危険な政策を行おうとしているのか一切報道してません。政権交代して与党になる可能性がある党のマニフェストなのに、 重要な部分はほとんど報道してません。郵政民営化の時も世論を誘導してデメリットをほとんど報道しませんでした。

私は特定の政党を支持していませんし、管理人様に考えを押し付けるつもりもありません。どの党にも良いところ悪いところがあります。
ですが、一人でも多くの国民に、マスコミがほとんど報道しない自民 党、民主党についての多くの情報を知ってほしいと思って、コメントしました。

民主党について詳しくは下記に書かれています。http://www35.atwiki.jp/kolia/pages/159.html

下記はマスコミではほとんど報道されていない、麻生総理の就任後からこれまでに行った業績で す。
http://www36.atwiki.jp/support5482/pages/15.html
http://www35.atwiki.jp/kolia/pages/258.html

最後に世論を操るマスコミが政府より強くなってしまっているについて
http://www35.atwiki.jp/kolia/pages/316.html

上記で紹介したHPは、有志で編集しているHPです。一読して頂きたいと思います。
もし、上記の内容をご存知でしたらごめんなさい。
長文失礼しました。

投稿: little | 2009年5月19日 (火) 07時30分

little様

懇切なコメント有り難うございます。
私とて、政権交代すればすべての問題が解決するとは思っていません。しかし、長期政権は、必ず(と言っていいでしょう)腐敗していきます。
政権交代によって生ずるプラスとマイナスをどう考えるか?
現時点では、プラスが大きいだろうと考えています。

投稿: 管理人 | 2009年5月31日 (日) 11時05分

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» 世襲でなにが悪い、 [罵愚と話そう「日本からの発言」]
「世襲だけがとりあげられると付和雷同して、」について  百歩譲って世襲議員が無能な欠陥議員だったと仮定しても、それが実証されたのは過去の世襲議員、もしくは現職の世襲議員に対する評価だろう。つぎの選挙の世襲候補がその事例を踏襲するかどうかはまだ未確定だ。未確定な候補の立候補を禁止して、無能が確定した現職の立候補を容認する理由はなんだろうか。じつに、たわけた決定だとおもう。  理由が無能ではなくて、有能な後継者の登場を阻害するものだとしても、現職を除外する理由にはならない。世襲と非世襲の能...... [続きを読む]

受信: 2009年5月23日 (土) 09時44分

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