大型詐欺の事例(5)N資金
「Mの次はN」ということでもないだろうが、「N資金」というものもある。
アフリカの中西部にあるナイジェリアを舞台にした話である。
ナイジェリアは、かつてはイギリスの植民地だったが、1960年に独立した。
私には未知の国であるが、Wikipedia(09年4月28日最終更新)では、以下のように解説されている。
アフリカ最大の人口を擁する国であり、乾燥地帯でキャラバン交易を通じてイスラム教を受容した北部と、熱帯雨林地帯でアニミズムを信仰し後にヨーロッパの影響を受けキリスト教が広がった南部との間に大きな違いがある。また、南部のニジェール川デルタでは豊富に石油を産出するが、この石油を巡って内戦や内紛が繰り返されるなど、国内対立の原因ともなっている。
上記のように政情不安定であることから、地下資源をめぐって不正蓄財したとか、クーデターに追われた側の亡命資金がある、というような話が生まれやすい。
このナイジェリアから送られてくる手紙による「ナイジェリアからの手紙」と称される詐欺事件がある。
Wikipedia(09年5月12日最終更新)を見てみよう。
ナイジェリアの手紙、ナイジェリアからの手紙又はナイジェリア詐欺 (Nigerian money transfer fraud, Nigerian scam, 419 scam) とは、アフリカ地域(主にナイジェリア)を舞台に多発している国際的詐欺の一種であり、先進国など豊かな国に住む人から、手紙やファクシミリ、電子メールを利用して金を騙し取ろうとする詐欺である。現在では電子メールで行われることが多い。
……
もともと詐欺師たちは、1980年代には企業オーナーや教会指導者ら個人に手紙を送り話を持ちかけていたが、電子メールの発達にともない、低いコストで不特定多数の一般人に対して詐欺を仕掛けることが可能になった。
2001年頃から世界中でこの「ナイジェリアからの電子メール」による被害が多発し、日本の個人のメールボックスにも英文で書かれた丁寧な申し出が多数届くようになり、受取人を困惑させている。
手紙、FAXあるいは電子メールの差出人は、無差別に送るメール等の中で「大量の資金を持つ人が、その金を安全に持ち出す方法で困っている。あなたの口座を貸してもらえないだろうか?」と丁重に呼びかける。
上掲サイトには、典型的な文例が載っている。
From: "BIBI LUCKY" <bibialora1@example.com>
Subject: can you?
Date: Thu, 28 Mar 2002 15:03:44 +0100
To: John.Doe@example.com
Reply-To: bibialora1@example.com
Dear Sir,
ASSISTANCE REQUIRED FOR ACQUISITION OF ESTATE
I write to inform you of my desire to acquire estates
or landed properties in your country on behalf of the
Director of Contracts and Finance Allocations of the
Federal Ministry of Works and Housing in Nigeria.
以下略
私にも、「ナイジェリアからの手紙」は届いたことがある。
この「ナイジェリアからの手紙」による資金話を、「N資金」というのだそうである。
「ナイジェリアからの手紙」に乗って金を騙し取られる人は限られているだろうが、「N資金の絡んだ銘柄」などという形で、資本市場にリンクすることがあるらしい。
N資金の話などはとても信じられないが、株が上がるのならば、別にデマでも構わない。
そう考えて、手を出す人は結構いるらしい。
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