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2009年5月11日 (月)

大型詐欺の事例(2)海底や山中の宝探し

家族ぐるみのイベントなどで定番のゲームが、「宝探し」である。
単に見つかりにくい場所に隠すだけのものから、暗号やヒントを頼りに隠し場所を推論するものまで、子どもから大人まで、レベルに応じてバリエーションが設定できるのが人気の源泉だろう。
最近では、ジオキャッシングというGPSの位置情報を用いた「宝探しゲーム」もある。
ジオキャッシングとは、「Geography(地理)」と「Caching(物を隠すこと)」を組み合わせた造語のこと。
「キャッシュ」と呼ぶお宝を隠す際に、GPS端末を用いて隠し場所の位置情報をWebサイトに登録し、参加する人は、その情報を基にキャッシュのありかを探し出すというものだ。
http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/col/20050608/112420/

このサイトには、以下のような記述がある。

徳川の埋蔵金やフィリピンの山下財宝、M資金……ちょっと洒落にならない例を挙げてしまったかもしれないが、洋の東西を問わず「財宝伝説」は枚挙に暇(いとま)がない。幼き日、冒険小説や漫画に登場するこうした“宝探し”に、胸躍らせた方も多いだろう。現実には“徳川埋蔵金発掘番組”のように、無残な結果に終わるのが関の山で、大人になるにつれてほとんどの人はそのようなトキメキを忘れてしまう。

この子供の頃のトキメキが、時に現実になることがある。
第一次大戦中に、日本郵船の八坂丸という客船が地中海でドイツ潜水艦に撃沈された。
この船に大量の金貨が積載されていて、それを積み荷リストで確認した男が、海底の金貨を引揚げて出資金に応じて分配するという事業を企画した。
そして、見事に金貨を海底から引揚げ、出資者に約100倍の配当金を支払った。

こういうことがあったこともあって、沈船の引揚げ計画に出資させようという詐欺がある。
1905年の日露戦争における日本海海戦で、撃沈された帝政ロシアのバルチック艦隊の一隻が、軍用資金を積んでいた、という積み荷リストをもとに、出資者を募った男がいた。
プラチナの延べ板を引揚げたという発表もあったが、真偽のほどはわからない、と山崎和邦『詐欺師と虚業家の華麗な稼ぎ方 人はこうして騙される』中経出版(0511)ではしている。

赤城山中の徳川埋蔵金を掘り出そうという話は、TV番組になったこともある。
幕府最後の財務大臣・小栗上野介は、名前の示すように群馬県出身で、江戸幕府の軍資金を日光か赤城山に埋蔵したという説がある。
それで、出資者を募り、本格的に掘削事業をしようと企画した男がいた。
しかし、この案件は、一種の地域おこしとして企画されたとも見ることができる。
徳川幕府だけでなく、武田信玄の軍資金を掘り当てよう、という企画もあった。

石油は現代社会には不可欠の物資である。
この石油ビジネスにおいて最も高い利益を得るのは、原油の探索と油田の開発である。
油田の開発には、地質学などの科学が動員され、複雑な算式を計算して原油産出の可能性を導き出す。
コンピュータの科学技術計算の重要な分野の1つである。

このオイルビジネスを詐欺の仕掛けに利用するケースもある。
油田の開発のために出資金を募るという話である。
鉱山の開発は、スーパーコンピュータを用いていくら精緻な計算をしても、根底に当たるも八卦当たらぬも八卦というような要素がある。
つまり本来的にヤマ師である。
ヤマ師が、最初から騙すつもりで資金を集めれば詐欺であるが、目論見が外れた場合には詐欺にはならない。

堀内光雄元通産大臣の指摘をきっかけとして廃止に至った石油公団などは、ほとんど詐欺に近い状態だったのではないか。
堀内通産大臣が問題提起した頃の状況は下記のようであった。
http://www.hit-press.jp/column/sk/sk41.html

当時通産相であった堀内は、平成9年12月の衆院決算委員会で「公団の財務内容は大丈夫です」と当時の石油公団総裁が答弁を繰り返すことから石油公団の状況に疑問を抱いた。その後自らの調査によって同公団が巨額の不良債権を抱えていることを突き止め、石油公団の問題点を報告書にまとめて国会に提出したり通産省に同公団の調査を命じた。また2度に渡って月刊誌「文藝春秋」に公団問題に関した論文を掲載した。その内容は、1度目は同公団のずさんな経営への批判と抜本的改革の要求を、2度目には同公団の改革に対する甘い取り組みや、公団及び公団の出融資先が一般の民間企業であれば法に触れる不明朗な経営を行っていることを厳しく指摘した。

しかし、もちろん石油公団が詐欺罪に問われるなどということは、ブラックジョークに過ぎない。

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