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2009年5月 2日 (土)

田中角栄=児玉誉士夫=小佐野賢治のTKO軍団

高野孟氏は、『M資金-知られざる地下金融の世界』日本経済新聞社(8003において、「M資金」とは、世界の三大シンジケート(ユダヤ、華僑、マフィア)の地下資金が表面化したものではないか、という仮説を立てる。
それでは、これらの国際シンジケートと最も深くつながっている日本での実権者は誰なのか?

高野氏の社会福祉団体に務める友人が、「M資金」話にコンタクトしていることについては、既に触れた(09年4月27日の項)。
その友人の話では、社会福祉団体の理事は、大手建設会社の副社長と一部上場の電機会社に話を持ち込んだという。
この辺りの関係者は、長岡哲生『極秘資金』講談社(0801)の登場人物と類似している(09年2月7日の項)。
社会福祉団体の理事に話を持ってきたのは、元代議士秘書である。
その代議士は、大平(正芳)派に属していたが、実際は田中角栄に非常に近かった。
田中金脈・人脈の中の工作員という感じで活動していた。
M資金ブローカーの間では、佐藤栄作なき後、最も熱心にM資金に関わっているのが田中角栄である、というのが定説になっている、という。

高野氏は、評論家・山川暁夫が『現代の眼別冊/黒い不死鳥・田中角栄』(7511)に寄せた文章を紹介する。
ちなみに、山川氏は、現在高野氏の活動の拠点となっている『インサイダー』を創刊し、高野氏ら若いジャーナリストを育てた人である。

田中の金脈はそれ(土地ころがし)以上に、首都圏の地方銀行を中心とした“金ころがし”と海外からの外貨送金の操作の中にあるという。大企業あるいは銀行からの一企業への融資--その企業の不実化の中に操作があるといわれ、一方ハワイと韓国からの利潤送金にもう一つの操作があるとの風評がある

山川氏は、2000年2月12日に亡くなったが、そのジャーナリストとしての姿勢、視点、知識を惜しむ人は多い。
川端治などの名前で、日本共産党の理論誌『前衛』などに論文を発表していたが、「新日和見主義事件」などを契機として、日本共産党を離れた。
余計なことではあるが、山川氏などを包容できなかった辺りが、宮本共産党の弱点だったのではないだろうか。

高野氏は、田中角栄=児玉誉士夫=小佐野賢治の人脈を、“TKO軍団”と表現し、それに連なる首都圏中心の地銀・相銀のネットワークこそ、元代議士秘書などが動いている世界であり、M資金とは何かを解くカギが隠されている、とする。
ちょっと興味を惹かれるのは、防衛事務次官・守屋武昌への過剰接待などが話題になった軍需専門商社・山田洋行が登場してくることである。

山田洋行の山田正志社長(当時)は、アメリカに強いコネクションを持っており、東京相和銀行の長田庄一会長(当時)と深い関係がある、と記述されている。
私も何回かプレーしたことのある富士エースゴルフ場は、長田と山田が半々で出資して作った日本振興開発という会社が経営していた。
高野氏によれば、開発銀行の元総裁でアラビア石油会長(当時)の小林中が、東京相銀と小佐野賢治がオーナーだった国民相互銀行を合併させ、さらに埼玉銀行と統合させるという構想を持っていた。
これは、首都圏の地銀・相銀の間を徘徊している“戸籍のない金”に戸籍を設けることが狙いだったのではないか。

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