世界三大シンジケートとM資金
富士製鉄事件に関して、高野孟氏らのインタビューを受けた猪島リツは、以下のように答えている。
「M資金なんて、まったく知らない。自分は関係ない。富士製鉄への融資はあって不思議ではない。ユダヤの資金が流れていることは事実だし、エドムント・ロスチャイルドも、“戦後の経済復興に貢献した”ということで、日本政府から勲一等をもらっている」。
高野孟『M資金-知られざる地下金融の世界』日本経済新聞社(8003)
高野氏は、猪島リツが、“オーナー”なる人物を介して、ロンドン・ロスチャイルドの当主E・ロスチャイルドやキッシンジャー元国務長官と個人的なつながりを持っていることは事実だが、彼女がその資金の運営に直接タッチする立場にあるわけではない、と書いている。
彼女は、ブローカーの山崎勇と組んで、寸借詐欺まがいのことを続けているのが現実の姿であり、詐取した金額は、10年間で7億円から10億円に達する、という。
ロンドンとパリに本拠をおくロスチャイルドは、世界最大、最古のユダヤ系財閥である。
高野氏は、「もしユダヤ人が北半球諸国に散在しなかったら、近代資本主義は生まれなかっただろう」というW.ゾンバルト博士の言葉を紹介している。
そのユダヤ人の、事実上の“宗家”とみなされているのが、ロスチャイルド一族である、という。
ロックフェラー家はユダヤではないが、石油と金融を中心とした同財閥は、多くのユダヤ系企業と密接に絡みあっている。
ロスチャイルドとロックフェラーの二大財閥は、アジアにおいては、華僑のグループと緊密に連携している。
華僑を抑えるというkとは、東南アジアから台湾、香港経由で、中国本土の経済まで抑えることを意味している。
高野氏は、ある大手都市銀行の国際部スタッフの話から、ロンドンで“ウォッシャブル・ローン”というものが行われている、という話を聞く。
ある石油メジャーが余剰資金を一流銀行に預金して、銀行がそれを見合いにして、指定された相手に融資する。
まさしく導入資金と呼ばれるものであるが、銀行は、バランスシートから預金も貸付も“洗い落としてしまう”ということだという。
このような“戸籍のない金”が日本にも流れ込んでくるのではないか?
高野氏が質問した多くの一流企業ビジネスマンの誰もが、その可能性を否定しなかった。
ある一流商社の航空機担当者は、「航空機に関係した商売をやっていると、あちこちでユダヤ系シンジケートとつながったブローカーに出くわす」と語っている。
私も、かつてボーイング社の本拠地シアトル駐在の長かった一流商社役員から、怪しげな資金の話を、真面目な話として、聞いたことがある。
高野氏は、次のようまとめている。
ユダヤ、華僑、マフィア--それぞれに重なる部分をもつこの世界三大シンジケートこそ、現代資本主義を実質的に動かしている、金と情報の地下水脈ではないのだろうか。そして、M資金とは、その地下水脈からひそかに汲み上げられる“黄金の水”の一形態なのではないか。そういう気がしてならないのである。
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