日本経済の復興に対する外国資本関与の可能性
国際情勢の見方に関して、国際的な陰謀組織が関与しているというような見方がある。
いわゆる陰謀論といわれるものである。
陰謀論にはいくつかの類型があるが、以下のようなものが代表的なものだろう。
http://hexagon.inri.client.jp/floorA6F_he/a6fhe600.html
◆ユダヤ陰謀論: 偽書『シオンの長老の議定書』などをふりまわし、何でもユダヤの陰謀にしてしまう説。この手の単純なデマゴギーを真に受ける日本人が多いのには、驚かされる。先日、日本で働いているイスラエル人と話したが、彼は「相当に知的レベルの高い日本人まで、この手の陰謀論を信じているのには参った」とうんざりしていた。全世界1500万人のユダヤ人が単一の陰謀をめぐらしているなどというのも信じられぬ話である。
◆ロスチャイルド陰謀論: ユダヤ系財閥の中でも、もっともエスタブリッシュメント的であるロスチャイルド財閥を陰謀の中枢とする説。たしかにロスチャイルド家の系図の広がりは膨大である。しかし、そのことが必ずしもロスチャイルド家の権力もしくは影響力を実証することにはならないのではないだろうか。血が拡散し、血縁が増えるということは、ファミリーの結束力が弱まり、その力が分散し、他のファミリーの影響力が侵入してくるということでもある。
◆ロックフェラー陰謀論: アメリカの、いわゆるWASP(ホワイト・アングロサクソン・プロテスタント)エスタブリッシュメントの中でも、もっとも名門のロックフェラー財閥を世界的陰謀の中心とする説。ロックフェラー家は厳密にいえば、南ドイツ出身のプロテスタント系のファミリーで、アングロサクソンではないが、広義におけるワスプ・エスタブリッシュメントの一員といえる。ロックフェラー財閥は、後述のように、時代の先行指標として注目すべきだが、決して単一の陰謀の中心になるほどの力はない。
◆日米欧委員会・CFR陰謀論: この2つは、いわゆるロックフェラー陰謀論のバリエーションである。
M資金についても、ロスチャイルドとの関係が語られていることについては既に触れた。
高野孟『M資金-知られざる地下金融の世界』日本経済新聞社(8003)は、富士製鉄事件の裏に、世界和平連合会という財団法人が関与している、という話を紹介している。
富士製鉄事件の主役とされる山崎勇が事務局長で、猪島リツという女性が会長をしている財団である。
住所は、港区三田3丁目4番20号三豊ビル403号。外務省認可の財団である。
高野氏は、登記簿謄本の旧役員欄の設立当初の理事をみて驚く。そこには、以下のようなメンバーが名を連ねていた。
牛場信彦:元駐米大使。福田赳夫内閣の対外経済相。
今井博:通産省局長から開銀理事を経て、日本曹達会長から同社相談役。
筒井密義:元PTA全国協議会副会長。日本医療器社長。
寺中作雄:文部省局長から国立競技場、国立劇場各理事長を経て、杏林大学常務理事。
門屋博:戦前に共産党員から転向して、南京政府顧問として上海の特務機関で活躍。戦後は、日本通商を拠点にキャノン機関n指揮した大陸との密輸工作に従事。有名な「飛騨3兆円事件」(09年4月17日の項)の舞台となった六本木のJIAという団体のメンバーでもある。
首藤信成:世界のウラン鉱の何割かを抑えている最大の鉱山会社であるリオ・ティント・ジンク・ジャパン会長。同社は、ロスチャイルド財閥の中核をなす多国籍企業である。
猪島は、富士製鉄からのリベートの受け皿を作ろうと、香港で社団法人を作ることを目論見るが、うまく行かず、日本で財団を作ろう、ということに転換した。
しかし、富士製鉄との間がこじれてしまい、この財団自体が外資特別枠から3兆円を30年間無利子で借りて、基金として運用しようという話になった。
イギリスのロスチャイルド、アメリカのロックフェラー、シンガポールの華僑共団体シャーから、各50億円の寄付をもらって発足するということで財団設立の申請をした。
しかし、外務省が、猪島らの事業計画書を認めるはずもなく、上記のような理事を揃えて、3億5千万円という常識的な資産でスタートした。
この財団の発会式は、芝の東京プリンスホテルで行われ、ロスチャイルド財閥の当主のエドムント・ロスチャイルド(前列右から2番目)が姿を現した。
今井博元開銀理事は、なぜ猪島リツのような怪しげな人物と行動を共にしているのか?
富士製鉄に5000億円が入ったのを見て、山崎から融資を引き出そうとした、と証言する関係者がいる。
今井は、知人を誘って山崎に工作資金を渡していた(今井自身は1000万円)。
しかし、山崎はその金を借金の返済と遊興に費消してしまう。
今井らは、それを知って、財団を作って富士製鉄からリベートを取って、山崎に渡した金を取り戻そうとした。
高野氏らのインタビューに応じた今井博は、「外国資本が蓄積円で興銀のワリコーを買い、その分の融資先を指定するというようなことがあるか?」という質問に、「あると思う。われわれだってその手のことはやっている」と答えている。
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