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2009年4月 5日 (日)

ミサイル発射の誤情報

北朝鮮が計画している「人工衛星」の発射に関して、朝鮮中央通信は、4日午前、人工衛星を間もなく打ち上げると発表していたが、午後4時を過ぎても発射はなかった。
しかし、日本政府は、一度「発射した模様」とする誤った情報を公表し、一時的に混乱する事態が起きた。

午後0時16分、政府は「さきほど、北朝鮮から飛翔体が発射された模様」とする緊急連絡「北朝鮮飛翔体情報」の第1報を、緊急情報ネットワークシステム「Em-Net(エムネット)」で、自治体や報道機関に出した。
2 しかし、午後0時21分に「先ほどの情報は誤りです。飛翔体の発射は確認されておりません」とする第2報を出して、それまでに出ていた首相指示などをすべて撤回した。

発射情報の誤報は、午後4時半ごろ、自衛隊の航空総体(東京都府中市)の担当者が自衛隊レーダーの情報と同時に米早期警戒衛星が発射を探知した、との誤った情報を、防衛省中央指揮所に伝達し、首相官邸でモニターしていた担当者が公表したのが原因であるとされている。
航空自衛隊の地上レーダーが探知したミサイルとは無関係の航跡が、即座に首相官邸まで伝達された。
その過程で、自衛隊員が発射の根拠を肉付けするような情報を思い込みで付加したり、衛星情報との照合が不十分だったりした。

情報の伝達には、迅速さと正確さが要求されるが、往々にして、両立は難しい。
弾道ミサイルの探知は、次のような手順で行われる。
(1)ミサイルの発射時に放出される赤外線を米軍の早期警戒衛星が探知する。
(2)その情報をもとに、自衛隊の地上レーダーとイージス艦のレーダーが探知・追尾する。

今回は、米軍の早期警戒衛星から何も情報がなかったが、航空自衛隊が防衛省技術研究本部飯岡支所(千葉県旭市)で運用しているレーダーが、航跡を探知したことが誤情報のもととなった。
速報を重視したことが、結果として裏目に出たということになる。
落下の可能性もあるとされていた東北各県の自治体は、政府の誤情報に振り回された1日だった。

秋田県危機管理対策本部には、4日午前11時すぎ、防衛省から「10時48分にミサイルが発射された」との連絡が届いた。
これを受けて、秋田県は、携帯メールで県内各市町村に警戒を促した。
自衛隊関係者が確認を取ると、発射の事実はないことが分かった。
システムの不具合によるものとされているが、県の担当者は、国の情報収集体制に不安を募らせてた。

どうして肝心なときに誤情報となるのか?
もちろん、人間の行うことだから、失敗の可能性は常にある。
しかし、ここ一番での失敗は許されるものではないだろう。
内閣のタガが緩んでいることの1つの表れではないだろうか。

1日後れて、北朝鮮の国営朝鮮中央通信は5日午後、「我々の科学者、技術者は、国家宇宙開発展望計画に従って、運搬ロケット『銀河2号』で人工衛星『光明星2号』を軌道に進入させることに成功した」と、初めて公式に報道した。
同通信は「衛星は軌道で正常に回っている」とし、「金日成将軍の歌」「金正日将軍の歌」の旋律と測定資料が地球上に送信され、衛星を利用した中継通信が進められていると伝えた。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090405-00000026-mai-int

北米航空宇宙防衛司令部(NORAD)は5日、北朝鮮が人工衛星を軌道に乗せたとの主張について、「何も軌道に乗らなかった」と否定し、打ち上げが失敗したとの見方を示した。
同司令部は「北朝鮮が発射したミサイル一弾目は日本海に落下し、残りの搭載物は太平洋に着水した」と指摘した。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090405-00000090-jij-int 

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