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2009年3月31日 (火)

西松建設献金問題の政治的影響力

1月の時点で、西松建設の裏金問題が、現代のロッキード事件になるか、ということを書いているサイトがあることを紹介した(09年3月5日の項)。
西松建設の裏金は現代のロッキード事件になるか(2009.1.21)
上掲サイトでは、西松建設献金問題に対する以下のような疑問点を指摘している。

第一に、事件の発覚が不自然である。
つまり、実行犯による「内部告発」による発覚ということについての疑問である。
第二に、問題化した時期である。
西松のダミーの政治団体からの献金は、とりあえず表献金であり、白日のものなので、献金自体を問題とするのならば、何年も寝かしておいて今頃出してきたということになる、と指摘している。
第三に、献金を受けたとされている議員の顔ぶれである。
上記サイトでは、共通項を以下のように括っている。
反(非)小泉、道路族、親中派。
上記サイトでは、このような現象をベースに、以下のような推測をしている。

未曾有の経済危機を何とかしなくてはならないオバマは、ブッシュ以上に日本からの収奪に励むにちがいない。
そんなアメリカにとって、小沢民主党が政権を取るのは問題外であるばかりでなく、国内に利権をもち、アメリカの言うことを素直に聞かないような自民党議員もさっさと切り捨ててしまいたいにちがいない。
まさに、アメリカの石油資本に逆らった田中角栄が逮捕されたロッキード事件と、同じことがおきようとしている。
発覚のきっかけは、裏金を横領した元部長・高原和彦の内部告発ということだが、西松建設がこの高原を追い詰めるわけがない。そんなことをしたら、こうしてバラされることは目に見えている。
考えられるのは、横領をかぎつけた「権力」から脅されてゲロッたということではないのか。
西松建設と言えば、かつては談合のまとめ役、いわゆる業務屋さんとして名を馳せていた。
だから、ちょっとマークされれば、不正をかぎつけることは困難なことではなかったのかもしれない。

ロッキード事件が、アメリカの謀略だったかどうかは分からないが、そういう疑いが出てくるに足りる条件はある(09年3月28日の項)。
既に風化してしまっているロッキード事件であるが、その経緯を再認識する中で西松建設献金問題を眺めると、奇妙な既視感のようなものを覚えることについては既に触れた(
3月29日の項)。

ロッキード事件のとき、田中角栄元総理が、マスコミとそれに影響された世論から袋叩きに近い扱いを受けていたことを覚えている。
私自身が、その世論を構成していた1人だった。
検察の正義を疑わず、特捜検事の活躍に喝采を送っていた。
マスコミの圧倒的な情報量の影響力は大きい。
いま、同じように、小沢氏に対する世論は批判的である。

例えば、3月27日付の読売新聞の社説は、以下のように論じられている。

読売新聞が実施した緊急世論調査で、小沢氏の公設第1秘書が、政治資金規正法違反で起訴されながら、小沢氏が続投を決めたことについて、有権者の3人に2人が「納得できない」と答えた。
小沢氏は、「続投が(民主党に)プラスかマイナスかは、国民の受け取り方次第だ」と表明してきた。調査に表れた国民の厳しい反応は、小沢氏に改めて進退について決断を迫るものとなろう。
小沢氏や民主党にとってマイナス材料はこれにとどまらない。
ゼネコンからの資金管理団体への違法献金について、小沢氏が「国民に説明責任を果たしていると思うか」との問いに、大多数がノーと答えている。
小沢氏は、これまで記者会見を重ねてきたが、事件を軽微な形式犯のように主張し、献金疑惑の核心に正面から答えてこなかった。有権者のこうした見方は、当然のことだろう。

小沢氏にとって、強い逆風というべきだろう。
もちろん、政党は世論の動向に右往左往することはないが、敏感であることも必要だろう。
そして、小沢氏自身が説いているように、重要なことは、政権交代である。
政権交代にとって、プラスかマイナスかで判断せざるを得ないのではないだろうか。
そして、国民としては、捜査のあり方、裁判の行方を、しっかりと見極めていくことが必要だと考える。
捜査の手法を見ると、検察は、政治資金規正法違反よりも、もっと悪質な違反を想定した筋読みをしていたように感じられる。
政治的影響力の大きな捜査が、予断に基づいたものでなければ幸いである。

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