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2009年3月14日 (土)

ロッキード事件⑨…日米司法取決と証拠の偽造

3月7日の項の続き)
フォード大統領からの返書の骨子は、『アメリカと日本の両国政府が司法間の取り決めを行い、アメリカの捜査当局が保管する関連情報を、非公開(秘密)扱いにして、日本の捜査当局に提供する」というものであった。
検察と三木首相は、角栄潰しという狙いにおいて共通していた。
検察は、角栄逮捕を目指していたが、時効の関係もあるので、早期の立件が必要だった。
三木首相は、資料の公開を目論んでいたが、「日米司法取決」について譲歩して、フォード返書を了承した。
平野貞夫『ロッキード事件「葬られた真実」』講談社(0607)によれば、「省益のためには、時の首相すら『道具』にする」という高級官僚の持つ性である」ということになる。

社会党の石橋政嗣書記長は、「『フォード返書』は日米合作の指揮権発動だ」と怒った。
しかし、三木首相は、「刑事訴訟法47条但書」という奇手を打って出た。
「訴訟に関する書類は、広範の開廷前いは、これを公にしてはならない。但し、公益上の必要その他の事由があって、相当と認められる場合は、この限りではない」
つまり、この「但書」を適用すれば、捜査段階でも、「疑惑の人物」の氏名を公開できることになる。

「日米司法取引」では、アメリカ側から提供された捜査資料は原則非公開」である。
しかし、日本の司法制度では、公開することができる。
取決を無視して公開すれば、どういうことになるか?

結局、「日本側の資料で名前を公表できる」という落としどころとなり、三木首相もアメリカ側が納得する案文をすべて許可した。
平野氏は、ロッキード事件で最も重要なポイントは、「日米司法取決」であり、この取決が、合法なのか違法なのか、それを検証するのが、同書を執筆した大きな目的の1つだったという。
何が問題なのか?
取決の第7項と第8項は、以下のような文章である。

7(司法共助)
当事者は、他方の国において行われることのある刑事上、民事上及び行政上の裁判または審理に関する手続きに関連してその国の司法当局により発せられる嘱託書による嘱託事項の迅速な実施を援助することにつき最善の努力をするものとする。
8(協力の限度)
要請国に対する援助は、被要請国の当局のとる措置として自国において訴追を免除する結果となることのある措置をとることにまで及ぶ必要はないものとする。

素人には意味が取り難いが、平野氏によれば、以下のようなことである。
アメリカ側の証人が日本側の要請で証言する場合、どんな犯罪行為を喋っても、日本国側は絶対に刑事訴追をしないので、好きに喋ってください、ということである。
狙いは、ロッキード社副会長だったコーチャンである。
つまり、司法取引であって、日本の刑法には定められていないことである。

当時の日本社会党の成田知巳委員長は、この取決について、日米間の国家機関を通じて決まったものであり、一種の条約であるにも拘わらず、関連資料の提供を捜査機関のみに限定するのは、三権分立を定める憲法違反である、と指摘した。
成田委員長の発言は、余り注目されるところとはならなかったが、平野氏にとっては印象に残る発言で、実質的に条約であって、国会の承認を必要とするものだ、としている。

国際評論家の小野寺光一氏は、3月6日発行のメルマガで以下のように書いている。
検察は、証拠があると感じると動いてしまう組織である。
ロッキード事件の時には、ロッキード社のコーチャンが、政府高官に賄賂を贈ったと証言した。
これによって、無実の田中角栄が逮捕された。逮捕されてから、角栄は否認したが、「角栄は罪を認めた」という情報がリークされた。

また、「内憂外患」というサイトで、ジャーナリストの田中良昭氏は、次のように書いている。

検察は悪い人間を捕まえる捜査機関ではない。時の権力者にとって障害となる人間を捕まえるところである。ロッキード事件が端的にそれを物語っている。55億円の賄賂が海外から日本の政治家に流れたとされる事件で、解明されたのは田中角栄元総理に流れた5億円だけである。後は闇の中に消えた。ところがこの事件を「総理大臣の犯罪」に仕立てて大騒ぎし、解明されたと国民に思わせたのは検察とメディアである。「本ボシ」は今でも偉そうな顔をしてご活躍だ。

小野寺氏は、3月7日号では、以下のように記されている。
小沢一郎側からの「献金の請求書」が存在しているという。
漆間内閣官房副長官(元警察庁長官)が、言及しているとされている。
しかし、常識的に考えて、献金の請求書などを作ることはあり得ない。
つまり、偽造である。
あの永田偽メール事件と同じである。
証拠をでっち上げる、という手法は共通したものである。

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