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2009年3月 5日 (木)

小沢代表秘書逮捕は偏向捜査ではないのか?

興味の赴くままに、33年も昔のロッキード事件の背景をあらためて調べていたら、小沢民主党代表の公設秘書が逮捕された、というニュースが飛び込んできた。
小沢代表は、ロッキード事件の主役・田中角栄元首相の愛弟子ともいえる存在である。
何となく偶然の縁を感じたのだが、驚くべき事に、既に1月の段階で、西松建設の裏金問題が、ロッキード事件に繋がる要素があり、政権交代必至の状況の中で、小沢代表を標的にしたものではないか、とする見解がある。
言い換えれば、小沢氏にターゲットを絞った一種の謀略ではないか、ということである。
例えば、以下のサイトである。

2009/01/17
小沢一郎を守れ<西松建設事件は政権交代を阻止するために「亡国の人物」によって用意された国策捜査か?>

西松建設の裏金は現代のロッキード事件になるか(2009.1.21)

平野貞夫『ロッキード事件「葬られた真実」』講談社(0607)では、ロッキード事件の本質を以下のように書いている(09年3月1日の項)。
日本は、昭和20(1945)年8月15日の敗戦から、昭和27(1952)年のサンフランシスコ講和条約発効までの約7年間、外国によって占領されるという史上初めての体験をした。
その間も、それ以降も、日本の政治は、多かれ少なかれ、外国の(特にその諜報機関の)影響を受けてきた。
つまり、田中角栄逮捕劇は表層的なことで、それによって真相が隠されてしまった、ということである。

今回の小沢代表秘書の逮捕にも、そのウラに隠された問題が内在しているのではないか?
昨日の段階では、私は以下のように書いたが、いささか素朴な感想だったのではないか、と反省している。

検察が国家権力の一部であるという本質を考えれば、検察の捜査が国策であるのは当然でもあろう。
問題は、検察の考えている国策が、国民にとってプラスになるのかマイナスになるのかである。

上記に補記すれば、権力の行使が恣意的であってはならないことは当然の前提であるだろう。
今の段階で云々することではないのかも知れないが、このタイミングでの小沢代表秘書逮捕には、正直な感想として、多分に恣意的な偏向の匂いを感じざるを得ない。
はっきり言えば、何らかの謀略的な思惑が背後にあるのではないか、と疑いたくなるのである。

日頃政治資金などとは縁がないので、現象的なことしか分からないが、今回の逮捕容疑は以下のように説明されている。
政治資金規正法では、陸山会のような資金管理団体が、政治団体から献金を受けることは、年間5000万円の範囲であれば、全く問題がない。
また、企業から政党への献金もOKである。しかし、企業から政治資金団体への献金は禁止されている。
小沢代表の政治資金管理団体「陸山会」への献金の中に、政治団体を偽装して、実質的には西松建設であったと認定される献金が含まれていた。
だから、違反行為である、ということである。

報じられているところでは、もちろん小沢氏以外の政治家・政治資金団体にもダミーとされた政治団体から献金されている。
もちろん、自民党にも数多いのだが、中には以下のような事例もある。

自民党の政治資金団体「国民政治協会」(国政協)や複数の政治家の政治資金収支報告書に、新政研の住所として東京都港区の西松建設本社住所が記載されていたことが5日、分かった。
……
国政協の政治資金収支報告書によると、新政研から03年12月に500万円の献金を受けた際、住所として港区虎ノ門の西松建設本社の住所を記載していた。新政研の実際の住所は千代田区平河町だった。

http://beenz.livedoor.biz/archives/497569.html

東京地検が小沢代表の秘書の大久保氏を逮捕したのは、同氏が「実質西松建設」と認識していたはずだ、ということである。
しかし、大久保氏は現時点ではそれを否定しているらしい。
おそらくは、検察が見るように、両団体は「実質西松建設」である、というのは妥当な見方なのだろう。
それは、いわゆる公然の秘密というのか公知の事実というのか、関係者の間では当然に知られていたことなのではないだろうか。
つまり、小沢氏の秘書だけが、「実質西松建設」という認識をしていたというようなことは、常識的にみてあり得ない。

とすれば、小沢氏の秘書のみを逮捕して、新政研の住所として西松建設本社の住所を記載していたような政治資金団体や政治家が不問のままというのでは、余りにも恣意的な判断ということになる。
小沢氏の秘書のみを虚偽記載として摘発するという事態を、見過ごしていいものだろうか。
田中角栄は、アメリカ石油資本に逆らったので、アメリカからの圧力で表舞台から追放された、という説がある。
果たして、西松建設事件によって、政権交代阻止ということになるのだろうか?

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コメント

政治には疎いのですが、
ロッキード事件の時に、多くの日本人が抱いた、ある ぼんやりとした疑問があったと思います。
賄賂 (袖の下) が犯罪として立件されるのか・・・?、ということです。
今回も、‘みんな、やっている’という発言が、小沢氏から出ていますが、役人に裏から金が回る、ということは遥か昔から行われていた日本社会の慣習です。
又、建設会社と政治家との金で繋がる縁、ということでも、小沢氏は田中角栄氏の型をそのまま継承していたのだということを、今回のことは示していると思います。
金+権力を悪政と決め付け、田中角栄元首相を犯罪者とした検察に、嘗て矜持があったと云うのならば、しかし、それは小沢氏等には無視され続けられていた、ということですね。
今回の件が偏向捜査になるのかどうかは、金に呑まれることのない政治家や政党が、果たして日本に存在するのかどうかに拠るのではないかと思うのです。

投稿: 重用の節句を祝う | 2009年3月 6日 (金) 11時54分

二階氏の秘書まで捜査がいきましたね。
この先どこまでやるかはわかりませんが

投稿: um | 2009年3月 6日 (金) 21時13分

重陽の節句様
um様

二階氏からさらに広がるのかどうか?
二階氏は、小沢氏の仲間ともいえるでしょうから、清和会関係者などに対して、検察がどう動くのかを注目したいと思います。
これだけ賑やかに報道されると、「かんぽの宿」の疑惑などは霞んでしまいますね。
それを狙っている勢力もあるのだろうと思います。

投稿: 管理人 | 2009年3月 8日 (日) 23時02分

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