日本郵政の物件をかたる詐欺
「石川や 浜の真砂は 尽きるとも 世に盗人の 種は尽きまじ」
有名な石川五右衛門の辞世の歌とされている。
盗人ならぬ詐欺師の種も世に尽きないようだ。
「日本郵政の不動産を破格で払い下げさせることができる」などと持ちかけて、購入資金を騙し取ろうとする詐欺の手口が横行しているという。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090222-00000069-san-soci
「かんぽの宿」の経緯などを見ていると、確かに「破格で払い下げ」ということもあるかも知れない、と思わせるところがミソだろう。
もっとも、日本郵政は、架空の資産処分リストを見せて破格の購入話を持ちかけ、取引の手付金や融資金名目で金銭を詐取しようとした事例が、約1年前から数十件あることを把握しているという。
今回報じられている話は、未遂事件だったのだが、「かんぽの宿」が騒動になってしまったので未遂に留まったのかも知れない。
L&Gというマルチ商法の詐欺事件については既に触れた(09年2月7日の項)。
その他に、「関西一の女相場師」と呼ばれている主婦の詐欺事件が報じられている。
ナニワの女相場師といえば、興銀から巨額のカネを引き出した料亭の女将・尾上縫のことが思い出されるが、関西一だから、その上を行くということだろう。
この泉佐野市に住む主婦は、200人から十五億円ほど集め、運用に失敗して行方をくらました。
この主婦は、見た目は農家のオバハン風だが、自宅の広い部屋にパソコン5台を並べて、ディーリングルームと称していたという(週刊新潮090212号)。
この主婦は、この“ディーリングルーム”で「日経225オプション取引」などで集めた金を運用していたらしい。
しかし、ご多聞に漏れず、リーマンショック後に大きな損を出し、配当の原資が無くなって事件が明るみに出た。
お金を集める際に、元本保証をうたっていたというから、出資法違反であることは確かだ。
しかし、そういう話に乗る方も問題ではないだろうか?
個人的な感想としては、そういう人たちは被害者とは言えないと思う。
「かんぽの宿」については、オリックスへ譲渡されかかった79施設の昨年の固定資産税評価額は856億円だったという。
http://mainichi.jp/select/biz/news/20090220ddm002020113000c.html
この金額は、簿価の約7倍に相当する。
通常は、実際の売買価格は固定資産税評価額の1.5倍程度らしい。
何やら簿価に関しても、何かカラクリがありそうである。
上記の記事よれば以下のようである。
固定資産税評価額は、同税を計算する際の基準になる評価額で、市町村が決定する。
これに対し、簿価は不動産鑑定を基に収益力の低下などを反映させる減損処理を実施した価格だという。
日本郵政は「07年10月の民営化に当たり、政府の郵政民営化承継財産評価委員会の承認を得ており適正だ」と説明しているが、固定資産税評価額と簿価のこのように大きな差異についても、日本郵政は説明責任があるだろう。
この減損処理というのが果たして的確なものだったのか?
民営化前の日本郵政公社が、79施設に関して黒字転換が難しい点などを勘案したものだという。
その「勘案」の根拠は何なのか?
どうも、一連の動きを見ていると、恣意的な要素が多すぎるように思う。
ヒラリー・クリントンは、「オバマ大統領が最初に招待する国家首脳は日本の麻生総理だ。最初に呼ぶのは、日本に対する友好国としての証だ」と言っている。
しかし、郵政民営化を問い直そうという動きに対して、麻生首相に対して、郵政民営化を後戻りさせるな、と迫ることが主眼だという説もある。
http://www.nikaidou.com/2009/02/post_2353.php
郵政民営化とは、果たして誰のためにどういう効果を狙ったものだったのか?
民営化によって国民が得たものは何なのか?
また、失ったものは何かのか?
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