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2009年2月19日 (木)

全日空M資金事件②…依頼書・念書の闇社会への流出

若狭得治が全日空副社長に就任したとき、総務・人事担当専務は、渡辺尚次だった。
渡辺は、秘書室長に就任した池田正男を呼んでB4大のコピーをテーブルの上に置いた。
それは、築地警察署長から全日空社長宛に送られてきた「操作関係事項照会書」で、次のように記されていた。
------------------------
 大蔵省特殊資金運用委員会
 右運用委員会委員 鈴木明良
と称する者から左記融資申し込み依頼をするよう貴社に交渉した事実の有無について回答願いたい。
   記
 一、貴社が前記委員会に三、○○○億円の融資申し込みをした事実の有無
 二、申込人は貴社大庭専務といっておりますが、その交渉事実の有無
 三、鈴木明良と称する者と本件以外について交渉事実の有無
                                以上
------------------------

渡辺専務が池田秘書室長と話した同じ日、経理担当の鈴木専務が警察に呼ばれ、事情聴取を受けた。
警察によれば、依頼書と念書の実物やコピーが、すでに総会屋や暴力団に出回っているという。
彼らは、念書をしかるべき会社の担当者に見せ、全日空に三千億入れば、手数料として0.7%、21億円もらえるから、それまでの運動資金として百万円なり二百万円を出せ、という活動を始めており、既にこのペテンにかかった会社もあるという。

渡辺、鈴木の両専務は、警察の情報を、若狭副社長に報告する。
若狭副社長らは、依頼書・念書が、大庭が振り出したものに間違いないことを確認した。
大庭社長と長谷村顧問には、鈴木明良の話以前に、巨額の融資話があった。
最初は、アラブ産油国の資金がスイスや中東系のイギリスの銀行、アメリカの銀行に預けてあり、それを年利4.5%の低利で融資する、というものだった。
長谷村のアラビア石油時代の知り合いで、昭和石油の社長室の堀井雅彦からの話で、当時の公定歩合は6.25%だったから、又貸ししても儲かる金利だった。

大庭は、成田努・新東京 国際空港公団総裁から直接電話を受け、有利な条件だと言われて、すっかり信じ込んでしまった。
堀井と成田の紹介で、河野雄次郎という男が現れ、融資申込書と念書を長谷村が書いて、大庭が社印を押させた。
その後、大蔵省銀行局長の青山俊を名乗る男が現れ、長谷村は理財局長だった青山と面識があったことから、偽者であることを見破った。
この時渡した融資依頼書と念書がM資金ブローカー仲間に出回って、全日空は金に困っている、という噂が広まった。

長谷村の許には、マーカット資金の話も舞い込んできた。
長谷村は、アラブ産油国の資金の話で失敗したにも拘わらず、マーカット資金の話に乗って、念書を10枚も書いていた。
長谷村は、指定銀行に指定期日までに振り込む、という条件をつけた。
また、ユダヤ協会の資金という話もあった。
満州にいたユダヤ人を米ソの迫害から救ったのが日本軍人だったということで、ユダヤ協会が感謝の意味で贈った資金が使われずに遊んでいる、という話だった。

こうしたことから、全日空の秘書室には、連日のように、得体の知れない男たちから、巨額の融資をしたいので大庭社長に面談したい、という電話が入るようになった。
秘書室長の池田は、その手の電話は長谷村に回すように指示した。
長谷村も、M資金の事情に詳しくなって、適当にあしらうようになっていたが、昭和44(1969)年の8月中旬、大蔵省特殊資金運用委員会委員の鈴木明良と名乗る男から電話があった。
鈴木は、原田憲、大石武一の2人の代議士の紹介状を持っている、という。
長谷村は、旧い国会便覧に鈴木の名前があるのを確認し、大庭に取り次いだ。
大庭と長谷村は、鈴木に会うことにした。

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