民主党石井一副代表の大暴投
民主党という政党は、阪神タイガースに似ているような気がする。
せっかく好機がまわって来ているにもかかわらず、いつも大事な局面で自滅的なことをして、チャンスを逃してしまい、応援しようかな、と思っている人間をも失望させてしまう。
先に自ら命を断った永田寿康元議員の偽メール事件がそうだったが(09年1月8日の項)、今回は、石井副代表という要職にある人が参院予算委員会で、麻生首相に「漢字テスト」をするというバカバカしいことをしてみせた。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090120-00000565-san-pol
もちろん、首相の漢字能力については、いろいろ言われている。
私も、「今年の漢字」との関係で、「首相の漢字能力検定」について書いたことがある(08年12月13日の項)。
しかし、これをパネルまで作って国会での質問に使うというのは、まったく違うと言うべきだろう。
石井氏は、おそらく国民の間でこの話題がかなり盛り上がっていることを踏まえて、人気取りのつもりでやったパフォーマンスだろう。
実際に、石井氏は、「最近の小学生の間では、漢字が読めないと「麻生」と呼ばれ「あっそう」と切り返すのがはやりだ」という話をを紹介している。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090121-00000032-sph-soci
そういう状況の中で、麻生首相を挑発すれば、何らかの失点を稼げるのではないかと考えたのだろう。
しかし、石井氏のパフォーマンスは、余りにも現下の厳しい情勢とかけ離れた独りよがりである。
民主党本部や石井氏に批判が相次いでいるというが、当たり前である。
こんなことをしているようでは、民主党への政権交代など覚束ない。
阪神タイガースがペナントレースで絶対優位な位置にいながら、最終的に優勝を逃してしまう構図に似ているといえないだろうか。
そういえば、石井氏は、タイガースのお膝元の神戸市の出身だ。
まあ、それは関係ないだろうけれど。
石井氏は、神戸市須磨区の生まれで、甲南中学、甲南高校を経て、甲南大学経済学部を卒業。スタンフォード大学でマスター・オブ・アーツの学位を取得したとある。
父親は、兵庫県議会議員だった。
日本生産性本部の職員だったが、政治家を志し、1969年の総選挙で初当選。
1989年には、第一次海部内閣において、国土庁長官として入閣した。
自民党では旧竹下派に属していたが、分裂に際し、小沢一郎や羽田孜と行動を共にし、1993年に、宮沢内閣不信任案に同調して自民党を離党して新生党に参加。
その後、一時小沢一郎と袂を分かつ時期があったが、民主党に参加し、2005年の郵政総選挙で落選するが、2007年の参議院選挙で参議院に鞍替えして国会議員としての身分を継続中というのが略歴である。
永田寿康元議員などとは違って、大ベテランといっていいだろう。
もっとも、公明党・創価学会を批判しているところなどは、永田元議員と共通性があるともいえる。
石井氏は、「文藝春秋」の昨年11月号に掲載された首相の手記で使われた「就中」など12個の漢字を並べたボードを用意し、「相当高度な漢字だ。これを隠して、どれだけ読めるかやってみたかったが、先に渡してあるから今なら読めるだろう」と首相を挑発した。
当該手記では、臨時国会冒頭の衆院解散の決意表明がされていたので、早期解散を迫ることが本意だったのだろうが、話題はそちらの方には向かわなかった。
ちなみに、石井氏の出題は、次のような漢字である。
漢字検定としたら、結構な良問ともいえるが、質問内容があらかじめ渡されているのでは意味がない。
予算委員会では、真面目に予算審議をしろ、というのが多くの国民の声だろう。
石井氏は、首相が「漢字読めない(新KY)」であることを強調したかったらしいが、自分が「空気読めない(元祖KY)」であった、というマンガ的な一幕ということになる。
オバマ新大統領の演説と比べても仕方がないけれど(オバマ氏のスピーチライターは27歳だという)、高校時代だったか、statesmanとpoliticianの違いを教わったことを思い出した。
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