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2009年1月 9日 (金)

郵政民営化の一帰結…「かんぽの宿」をオリックスに譲渡?

私たちのような零細企業で、日々の資金手当にも苦しんでいる人間には、想定外の「しかけ」が世の中にはあるらしい。
昨日の朝刊各紙は、鳩山邦夫総務相が、日本郵政が「かんぽの宿」を一括してオリックスグループに譲渡することに対して、強い疑義を表明したことを報じている。
鳩山総務相の表明した疑義とは、以下のような事項である。
①なぜオリックスなのか?
②なぜ一括譲渡なのか?
③なぜ不動産価格が下落しているこの時期なのか?
これらの点に関し、日本郵政から、納得的な回答が得られなかったとのことである。

「かんぽの宿」には、私も泊まったことがあるし、各地にある立派な外観の施設をみて、時間にゆとりが持てるようになったら、こういう施設を利用しながら旅行を楽しみたいものだ、などと思っていた。
「かんぽの宿」は、全国に70施設あるという。
「かんぽの宿」は、年間約40億円の赤字を出していて、日本郵政は、2008年の4月に譲渡のための公募を開始した。
27社が応募し、2回の入札を経て、12月26日にオリックスの100%子会社であるオリックス不動産への一括譲渡が決まった。
一括であることと、従業員の雇用の継続が譲渡の条件だった。

「かんぽ=簡保」は、簡易生命保険の略である。
政府が債務保証することにより、破綻の心配のない保険だったから、利用者は多かった。
郵政民営化が法定されたことにより、政府保証の条件がなくなった。
「かんぽの宿」も、日本郵政株式会社法により、民営化から5年以内の譲渡か廃止が定められている。
譲渡によって、民間の運営になり、利用者にとってのコスト・パフォーマンスが向上するのであれば、結構なことだと言うべきかも知れない。

しかし、一括譲渡先が、宮内義彦氏率いるオリックスグループとなると、如何なものか、と感じる人は多いだろう。
宮内氏は、小泉内閣で総合規制改革会議の議長などを務めた規制緩和推進論者である。
一部には、規制緩和を商機として活用するのに長けた人との評もある。
もちろん、郵政民営化についても積極的な推進派である。
小泉、竹中(平蔵)、宮内とトリオで捉えられることも多い。
今日の日本社会の荒廃を招いたグローバル市場主義のリーダーである。

今回の譲渡に関して、オリックスの社長室は、「公正な手続きで譲渡契約を結んだ」というコメントを出している。
また、総合規制改革会議の答申中には、郵政民営化というテーマは出ていなかった、としている。
しかし、宮内氏が、竹中氏などと親しい関係にあったことは公知の事実である。
触法でなければ許されるというのが市場主義なのだろうし、オリックスは、その範囲内で合理的な行動をとったということであろう。
また、日本郵政は「コメントできない」(報道担当)という不可解なコメントである。
あらためて郵政民営化の是非が政治的争点になろうとしている時期なので、きちんと説明責任を果たすべきではないだろうか。

鳩山総務相の発言は、多分に政局的効果を狙ったものだろうが、発言そのものは、多くの人の胸中を代弁しているのではないだろうか。
譲渡金額はオープンにされていないらしいが、総額109億円ということである。
簿価が123億円ということだから、現在の市況を勘案しても、バーゲンセールという批判が出ても止むを得ないのではないか。
郵貯関連のホテルは、250億円を投じたとされるメルバール伊勢志摩が4億円、210億円を投じたとされるメルモンテ日光霧降が7億円の売価だったという。
その売却損は、郵貯利用者や簡保加入者の逸失した得べかりし利益である。

一方で、日本郵政は、株式公開買付によって、郵便物輸送会社「日本郵便輸送」を子会社化したが、同社のもとの筆頭株主は、郵政職員の共済組合で、郵政OBの天下り先でもある日本郵政共済組合だった。
旧株主は、株式売却により約100億円の売却益を得たという。
郵貯・簡保の利用者には得べかりし利益を逸失させ、身内の団体には利益を還元しているというわけである。
http://diamond.jp/series/inside/04_05_001/

そもそも、日本郵政からオリックスへの譲渡の開示が、12月26日という押し詰まった日程で行われていることも不自然な気がする。
多くの国民は、鳩山総務相の発言報道によって、オリックスへの譲渡を知ったのではなかろうか。
余り目立ちたくないという意識がなかったならば幸いであるが。

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コメント

かんぽの宿が大赤字だとの政治宣伝が続いているが根拠のない話である。郵便貯金の伊勢志摩や、日光の施設が4億円で売却された話も、きな臭い。国会にちゃんと参考人でも承認でも関係者を招致して、開かれた墓所での議論が期待される。いずれにしても、巨額の国民資産の売却について、総務大臣の口出しが出来ない法律自体がいかさま名法律であり、民営化がそうした欠陥を持つことが明らかになった。東京中央郵便局の解体も始まった。国会議員が百人以上反対に署名したそうだったが、そんなことも知られているのだろうか。市場原理主義はそうした虚妄でしかない。ブラックな話でしかない。はとやま大臣の蛮勇に期待する以外にないとは情けないことだ。

投稿: Orwell | 2009年1月10日 (土) 19時11分

Orwell様

はじめまして。
Orwellといえば、George?
私は、「『1984年』が現実化しなくて良かった」などと思っていた時期がありましたが、北の国では素朴に、米欧日などでは巧妙な形で、現実化しているのではないか、と考えるようになりました。

そうですか。「かんぽの宿」が赤字だというのは、やっぱり政治宣伝ですか。
どうも、民営化という美名(?)のもとに、何が進行しているのか、多くの人が知らないことがたくさんあるようです。

投稿: 管理人 | 2009年1月10日 (土) 20時18分

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