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2008年12月14日 (日)

「珍説・奇説」とトンデモ本

岩田一平『珍説・奇説の邪馬台国』講談社(0004)にも、「邪馬台国論争」をめぐる何人かの論者が紹介されている。
「珍説・奇説の……」というタイトルからすると、いわゆるトンデモ説を紹介したもののように感じられるだろう。
実際に、「奇説珍説博物館」というサイトがあって、山本弘ト学会会長に関連した資料が集められている。
ちなみに、トンデモ本におけるトンデモという概念は、以下のように説明されている(WIKIPEDIA:08年11月27日最終更新)。

飛躍した論理で、論証もされていない仮説、考証のずさんなフィクションなどを含む。具体的には疑似科学やオカルトなどを含む。例えば、UFO、超能力、超常現象、ユダヤ陰謀論に関するもの。こうした背景には、と学会メンバーが自分たちの「観察対象」となる人たちを指して「トンデモさん」、そうした人たちの論理を「トンデモ説」と呼ぶなどこの言葉をそちらの意味に近い形で転用していることがある。

また、トンデモ本は、「ト学会」という会の活動と切り離せない。「ト学会」については、以下のように説明されている(08年11月11日最終更新)。

と学会(とがっかい)は、世間のトンデモ本やトンデモ物件を品評することを目的としている日本の会の一つである。当人達が学会を自称しているだけで、日本学術会議が認定した団体ではない。1992年に設立。

古代史関係では、かつて古田武彦氏の研究室の助手を務め、後に『東日流外三郡誌』の評価などをめぐって古田氏と対立することになった原田実氏が「ト学会」のメンバーとして活動している。
岩田氏の「珍説・奇説……」は、トンデモ説の紹介本ではない。
中にはトンデモに近いと思われる説もあるが、「珍説・奇説」は、むしろ「アイデアに富んだ」という意味で用いられていると理解すべきだろう。
実際に、「おわりに」において、「さまざまなアイデアが自由に論じられてきたことは、これはこれでよかったのではないか」と書いていることからも、そう理解すべきだろう。

そして、「なぜ邪馬台国が問題になるのか」に対しては、「日本国のルーツにかかわっているからだ」としている。
九州説と大和説(畿内説)に対しては、次のように解説している。

もし、九州に邪馬台国があったとすれば、三世紀には倭人の国はまだ、初期ヤマト王権に統合されていなかったと言える。諸国連合のひとつ、九州を中心としたそれが魏と外交関係を結んでいたと考えられる。倭国の中心が九州にあったとすれば、その後、中心は東のヤマトに移動(東遷)したということになる。
いっぽう、大和に邪馬台国があったとすれば、三世紀すでに倭人の国ではヤマトを中心に統一国家の歩みがはじまっていたと見られる。その縄張りは北部九州から近畿地方におよんでいたことになる。大和説をとれば、邪馬台国は初期ヤマト王権につながる可能性が高い。

岩田氏は、邪馬台国問題の面白さについて、次のように言う。

ヒロインがいて謎があるから、これをミステリーと言わずして何がミステリーであろうか。
加えて、「邪馬台国探し」には、冒険ゲームの趣がある。

「魏志倭人伝」という資料には限界があって、「魏志倭人伝」だけでは、邪馬台国問題は解決しない。
だから、その不完全なところを埋めるために、考古学、民俗学、古気象学、音韻学……などの諸学が動員されてきた。
邪馬台国問題は、学際思考を養うための教材でもあると言えるのではなかろうか。

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