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2008年12月21日 (日)

珍説・奇説の邪馬台国…⑥「四国山上」説(大杉博)

邪馬台国の所在地は、「どこでもアリ」という感じであるが、大杉博さんは、四国山上説を唱えている。
大杉さんのプロフィールは、セイクリットセミナーの講師紹介欄では次のように記されている。

大杉 博(おおすぎ ひろし)
昭和4年岡山県生まれ 
昭和51年から古代史の研究を始め、昭和56年倭国研究所を設立
現在、倭国研究所所長。歴史学名誉博士
「古代ユダヤと日本建国の秘密」「邪馬台国の結論は四国山上説だ」他著書多数

http://holistic-healing.jp/hemp/kousi16-6.html

大杉さんは、あまたの研究者(団体)に対して、「邪馬台国比定地比べ論争」を挑む論争家として知られている。
岩田一平『珍説・奇説の邪馬台国』講談社(0004)によれば、62人と3つの団体に手紙で論争を申し込んだ、とある。
結果は?
無敗だという。
大杉さんのルールは、以下の条件を守らないと「負け」だという。
①地図で比定地を示すこと
②論争内容を公表すること
そして、自説が誤っていると判断したら、研究から手を引く、としている。

大杉さんの挑戦に対する反応について、大杉さん自身が以下のように書いている。

……相手の研究者から何の反応も無いのである。したがって私は、邪馬台国の比定問題はほぼ決着したと考えている
(上掲書)

黙殺という被挑戦者も多かったようだから、邪馬台国問題が「ほぼ決着した」とは考えられないことは当然である。
ともあれ、大杉説の論拠を見てみよう。
四国には、無数の高地性集落がある。
高地性集落とは、以下のように解説されている(WIKIPEDIA08年6月28日最終更新)

高地性集落こうちせいしゅうらく)とは、日本の弥生時代中・後期に、平地より数十メートルも高い山頂部や斜面に形成された集落である。
弥生時代の集落遺跡は、周囲に濠をめぐらして外敵の侵入を防ぐ環濠集落が主たるものであり、これらはコメの生産地となる水田に近い平野部や台地上に形成されていた。それに対して、人間が生活するには適さないと思われる山地の頂上・斜面・丘陵から、弥生時代中期~後期の集落遺跡、すなわち高地性集落の遺跡が見つかっており、「逃げ城」とか「狼煙台」とかの軍事的目的の集落であったとか、その性格をめぐって様々な議論が提起されている。

大杉さんは、邪馬台国は、四国の山上に存在した高地性集落の集合体の国だとする。
そして、邪馬台国とは、おかしな馬と台にしたような国、の意味であるという。
大杉さんは、高校野球で活躍した池田高校のある徳島県三好郡池田町に在住である。
その池田町に、医家(イケ)神社という神社がある。祭神は、大国主神と少彦名神だという。
大杉さんは、医家神社が、延喜式神名帳に阿波国美馬郡12座中の式内大社「倭大国玉神大国敷神社二座」と記された神社ではないか、と考えた。
そして、池田町こそ、神武東征以前に、大国主命が治めた倭国の都だと考えた。
池田町の近傍が、天孫降臨の場所であって、天岩戸も出雲も、阿波にあったのではないか。
大杉さんによれば、記紀神話は、阿波に実在した。

2_2大杉さんは、四国全図を平地と台状になった部分の境をトレースし、山が台状の形をして連なる国の姿が浮かび上がった。
それが邪馬台国ということになる。
この周囲を測ると、400~500kmであった。
まさに「魏志倭人伝」にある「周旋五千余里可り」に一致する。
そして、その周囲に、斯馬国以下奴国までの各国を比定した。

弥生時代の終わりから古墳時代にかけての遺跡から、丹を使った朱塗りの

遺骸や棺が出土している。
丹は、水銀朱(HgS)のことである。
丹は、鮮血を連想するもので、生命の源のシンボルだったのではないか、と考えられる。
2_3中国では、不老不死の薬とされていた。

水銀朱は、水銀と硫黄の化合物(硫化水銀)で、水銀鉱床から産出する。
水銀鉱床は、中央構造線上に帯状に存在する。
徳島の那賀川の中流の阿波水銀鉱床のある辺りは、丹生谷と呼ばれている。
「魏志倭人伝」には、「その山に丹あり」という一節がある。
邪馬台国には、丹を産出する山があった、ということである。
邪馬台国は、弥生時代に水銀鉱山があった地域である、ということが条件であるとも考えられる。
とすれば、阿波はその資格要件を備えた地である、とはいえる。

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