岡本正太郎氏の高松塚被葬者論…③古墳の基本設計
岡本正太郎氏は、『高松塚古墳と大津皇子-古代尺度が解く千三百年の謎』梓書院(8706)において、終末期古墳の設計について述べている(p89~)。
それは、大化薄葬令の規定である「王以上、上臣、下臣の長さ9尺、幅5尺」と「大仁以下、長さ9尺、幅4尺」と津田菊太朗氏の「津田程域割理論」とを組み合わせたものである。
津田程域割理論とは、「古代のあらゆる設計に、中国がその神仏思想(道教、儒教、陰陽五行説)から、中国本土を表す、最も尊い天子の図形(呂氏春秋、爾雅釈地、淮南子、の各天下図)とした正方形と、その土地が形成する矩形(程域形)が使用されている」というものである(p90)。
大和の程域角は飛鳥の酒舟石に刻まれている約58度前後である。いささか分かり難いが、図のように説明されている。
程域理論を薄葬令にあてはめると、「王以上、上臣、下臣」の規格は、短辺3尺・長辺5尺(程
域比0.6)の程域形3個を併せた規格(=短辺5尺・長辺9尺)となり、「大仁以
下」の規格は、短辺2.25尺・長辺4尺の程域形を4個併せた規格(=短辺4尺・長辺9尺)となる。
高松塚は、短辺5.1尺、長辺13.2尺である。
これは、図のように、5.1尺の正方形 2個と短辺5.1尺、長辺5.1尺の程域形とを組み合
わせた形ということになる。
高松塚の場合、1寸の差があるが、岡本氏は、これは皇族と臣下の差であるとする。
つまり、高松塚は、正方形の天皇割2事、程域形の臣下割1個の天皇に準ずる太政大臣及び皇太子の図形と考えられる、というのが、古墳の設計規格からみた岡本氏の見解である。
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