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2007年12月23日 (日)

血脈…③万世一系

天皇誕生日である。
現行憲法は、第一章「天皇」であって、天皇について冒頭で次のように規定している。

第1条 天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であって、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基づく。
第2条 皇位は、世襲のものであって、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。

そして、「国会の議決した皇室典範」は、第一章の「皇位継承」において、皇位について次のように定めている。

第1条 皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する。
第2条 皇位は、左の順序により、皇族に、これを伝える。

 1.皇長子
 2.皇長孫
 3.その他の皇長子の子孫
 4.皇次子及びその子孫
 5.その他の皇子孫
 6.皇兄弟及びその子孫
 7.皇伯叔父及びその子孫

2 前項各号の皇族がないときは、皇位は、それ以上で、最近親の系統の皇族に、これを伝える。
3 前2項の場合においては、長系を先にし、同等内では、長を先にする。

男性皇族が40年誕生していなかったため、若い男性皇族が不足し、皇位継承に支障を来たす恐れがあることから2004年12月27日に「皇室典範に関する有識者会議」が、当時の内閣総理大臣であった小泉純一郎氏により設置された。
2005年11月24日に、有識者会議は、皇位継承に関する報告書を提出した。その骨子は以下の通りである。

・女性天皇及び女系天皇を認める
・皇位継承順位は、男女を問わず第1子を優先する
・女性天皇及び女性の皇族の配偶者も皇族とする(女性宮家の設立を認める)
・永世皇族制を維持する
・女性天皇の配偶者の敬称は、「陛下」とする
・内親王の自由意志による皇籍離脱は認めない

女性天皇及び女系天皇を認めるということで、現行の皇室典範を大きく変更しようとするものであった。
しかし、秋篠宮妃の懐妊が報告されると、男児誕生の場合には、第3位の皇位継承資格を有することになるので、皇室典範改正論議は封印された。
2006年9月6日には、秋篠宮家に悠仁親王が誕生し、有識者会議での論点そのものが解消したわけではないにも係わらず、皇位継承論議はとりあえず沈静化した。
しかし、この論議の過程で、天皇家の血脈について、改めて関心が高まったことは事実である。

皇位継承に関しては、「万世一系」ということがいわれることが多い。
皇統の一貫性や天皇制の永続を主眼とする思想であり、日本は、初代天皇とされる神武天皇から現在に至るまで、王朝が断絶することなく、一貫して天皇家によって統治されてきた、とする史観である。
皇室典範改正論議において、女系天皇が容認されそうな雰囲気になってきたとき、「神武天皇のY染色体」を継承することが重要なのであって、女性天皇は事例があるが、女系天皇は日本の歴史には存在しない、というような議論が登場した。

Y染色体などというといかにも科学的な認識に基礎を置いたような議論であるが、この議論がナンセンスであることは、皇国史観においてすら、「皇祖」は神武天皇ではなく天照大神であったこと、つまり「万世一系」は、神武以来ではなく天照以来であったことからも明らかである。
「Y染色体」による男系の継承などと言っても、神武の父、さらにその父、さらにその父と辿っていけば際限のない話である。

私自身は、歴史的事実として、第26代の応神天皇の5(あるいは6)世の孫とされる継体天皇、壬申の乱、南北朝時代などにおいて、「万世一系」とはいえないだろうとと考えるものである。
そして、そもそも天皇制を守るべき根拠が、「万世一系」というような「血」であるならば、そのこと自体が意味のないことではないかと思う。
親から子へ遺伝するものは確かに実在すると思うが、男系で継承されるものが仮に50%であったとしても、7代を経れば1%未満になってしまうことになるのである。

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