漢字の歴史
漢字は豊かな情報伝達力を持っている(12月14日の項)。
それは漢字が図形性と歴史性とを持っているからであろう。
漢字は世界で最も長い歴史を持つ文字である。また、使用されている範囲が広く、使用者の数も多い。
漢字の起源について見てみよう。
今から約6000年前と推定される半坡遺跡で、50種ほどの符号が発見された。
一定の規則性があり、文字としての特徴を持っている。これが、漢字の萌芽である可能性が高いと見られている。
漢字が系統的な文字になるのは、紀元前16世紀の商の時代の甲骨文字だとされる。
甲骨文字は、亀の甲や獣の骨に刻まれた古い文字のことで、商の時代に国王が占いをするときの道具だとされる。
甲骨は使う前に、甲骨の上についている血や肉を取り除く。
それを磨いてから、甲の裏か、骨の裏に刃物で文字を刻んだ。
これら刻まれたものの排列も順序があって、占いをする人や巫術を行う人は、自分の名前と占いの期日、また聞きたいことをすべて甲骨に刻んで、火で焼く。
熱を受けて、甲骨に出た裂け目は、「兆」といい、巫術を行う人は、裂け目の裂け方を分析し、占いの結果を出し、それに占いが当たるかどうかもいっしょに刻む。
もし占いが当たったら、この甲骨は政府当局の文献として保存された。
今まで、考古学の専門家は、あわせて甲骨16万枚あまりを発見したという。
甲骨に刻まれている文字は、計4000字余りあって、その中の1000字あまりが学者たちによって解読された。
この1000文字から、人々は商の政治、経済、文化などの情況を知ることができる。
甲骨文字は系統的な文字で、商の後の漢字の発展の基礎となった。
この後、漢字は、銅銘文(金文)、小篆、隷書、楷書などの変化を通して、字体が規範化・安定化し、現在まで人々に使用されてきた。
楷書が誕生して、「横、縦、撇、点、捺、挑、折」という基本の筆画が定められ、字体の安定化が進むと共に、書き方の規範化も進んで、各文字の筆画数と筆順も定められた。
漢字は、約10000字あり、そのうち通常よく使われるのは、3000字ぐらいであるという。
この3000字あまりの漢字が、数え切れないほどの単語を構成し、さらにさまざまなセンテンスを構成できる。
漢字の誕生と普及は、中国のみならず東アジアを中心に、世界の文化の発展に大きな影響を与えた。
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