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2007年12月13日 (木)

今年の漢字

「今年の漢字」という年末行事がある。
財団法人日本漢字能力検定協会が、その年をイメージする漢字一文字を、全国から公募し、最も応募数の多かった漢字一字を、その年の世相を表す漢字として、毎年12月12日の「漢字の日」に、京都市東山区の清水寺で発表するものである。
選ばれた漢字を「今年の漢字」と呼んでいる。

2007年の「今年の漢字」は「偽」であった。
212日に、清水寺の森清範貫首によって、縦1.5m、横1.3mの大和紙に揮毫され、同寺奥の院の本尊・千手観音菩薩に奉納する儀式が行われた。
さすがに見事な字である。
奉納された「偽」の文字は、同寺の本堂に置かれ、一般に広く公開される。

今年は9万816通の応募があり、16550人(18.22%)が投票した「偽」が「今年の漢字」に選ばれた。
2位の「食」は2444人(2.69%)だから、ダントツの1位ということになる。
しかも、「食」も食品表示において偽装が相次いだことを示しているから、意味的には「偽」と同じである。
また、3位が「嘘」で1921人(2.12%)、4位が「疑」で1848人(2.03%)となっているが、これらもまたほぼ同義語としていいだろう。
5位は「謝」で、これまた1~4位の結果の謝罪から来ていると考えられる。

確かに、昨日話題にしたIHIの有価証券報告書の記載の訂正も、「虚偽記載」の疑いがあるとされているわけだから、「偽」に関連しているし、「偽装国家(9月2日の項)」で触れたように、一昨年の「耐震強度偽装問題」などから、偽装のオンパレードで、「○○偽装」が一種の流行語と化すまでに広がってきたことは事実である。
特に、今年に入ると、「ミートホープ」「白い恋人」「赤福」「船場吉兆」「マクドナルド」など、有名・無名、老舗・新興などの区分なく、食品業界では、偽装関連報道を聞かない日がないくらいだった。

もちろん、ことは産業界だけに留まらない。
政治家の事務所経費の問題、接待漬けの高級官僚、消えた年金など、国民に対する偽装行為は、枚挙に暇がない状態である。
特に、年金問題に関するリーダー的立場の政治家の言葉は、余りにも軽すぎることは否めないだろう。
TVで繰り返し放映されているように、年金記録の照合を年度末までに終える、と明瞭に演説していたことは間違いない。
それに関して、「選挙期間中の言葉であり」「そういう意味で言ったのではないのであって、そう受け止めた国民が悪い」というような開き直り方をしている。
一国のリーダーであるべき総理大臣、厚労大臣、官房長官などの政治家が、こぞって、である。
国民をナメているとしか言いようがないだろう。

偽装の原点?(9月6日の項)」で触れたように、わが国最初の正史である『日本書紀』ですら、重要なことを隠蔽している気配がある。
そして、モノゴトに本音と建前があり、表と裏があることは、まあ承知していることではある。
ある意味で、偽装の行為があること自体は当たり前のこととも言えよう。
しかし、それはあくまで裏側での話であって、秘すべきものではなかろうか。
公然としかもシラッとした顔付きで話されては、身も蓋もないと思わざるを得ないだろう。

個人的には、同じ「ギ」でも、今年は「技」の年であったと考えたい。
2007年問題(11月20日の項)」はまさに「技」の断絶を問題にするものであったし、「『わざの伝承』(11月21日の項)」はそれに対する取り組みをどう考えるか、の模索である。
また、「職務発明の対価(12月10日の項)」は、技術立国の根幹に係わるテーマだ。
そして、技術立国力を競う「技能五輪国際大会(11月19日の項)」が、沼津市を会場として、22ぶりに日本で開催された。
2007年は、「技」を再考すべき年だったのだ。

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