IHI株が監理ポストに
東京証券取引所が、株式会社IHI(アイエイチアイ=旧社名:石川島播磨重工業)の株式を、監理ポストに割り当てた、と12日付の各紙が報じている。
IHIは、2007年3月期の営業損益を、約300億円下方修正する見込みだと11日に発表した。
14日に決算訂正を正式発表する予定で、月内をメドに07年3月期の通期と半期の有価証券報告書を訂正するという。
IHIは、9月末に、08年3月期の営業損益見通しを、400億円の黒字から170億円の赤字に下方修正した。
この際、さらに追加損失が、今期と前期の合計で、最大280億円発生する公算があると発表していた。
このうち、180億円を前期に計上し、今期の下方修正幅(570億円)のうち、約120億円は、前期に繰り上げて計上するのが適切と判断したことにより、約300億円の修正額のうち、約90億円が06年9月中間期に計上される。
同社は、今年の1、2月に、公募増資と第三者割当増資で、640億円近くを調達している。同社の株価の推移は図の通りであり、現在の株価は、上記の資金調達時の約半値とみていい。
また、営業赤字だったタイミングで市場から資金を調達したことになり、市場の信頼を大きく損なうことが避けられない。
東証が監理ポストに割り当てたのは、IHIの有価証券報告書の訂正を受け、上場廃止基準の「虚偽記載」に該当する可能性があると判断したためである。
東証は、11月1日に取引ルールを改正し、監理ポストに割り当てたが上場廃止に至らない銘柄のうち、内部管理体制などに問題があると判断した銘柄を、「特設注意市場」として通常銘柄と区別することにしている。
したがって、IHIの株式は、東証の審査の結果によって、以下のいずれかになる。
①通常銘柄として上場維持
②特設注意市場で投資家に注意を喚起
③整理ポストを経て上場廃止
IHIの前身の旧石川島重工業は、江戸幕府によって、隅田川河口の石川島(東京都中央区佃)に創業された。
1876(明治9)年に民間へ払い下げられた。翌年には日本初の蒸気船「通運丸」を建造し、1960(昭和35)年に旧播磨造船所と合併した。1966年には、世界初の20万トン級タンカー「出光丸」を就航させている。
1968年には旧呉造船所を合併し、文字通り日本を代表する造船会社となった。
その後、日産自動車から宇宙航空事業・防衛事業を譲受し、新潟鐵工所から原動機事業・運搬機事業を譲受するなどをして、総合的な重工業会社として発展してきた名門企業である。
今回の訂正を必要とさせた判断ミスが故意なのか過失なのか、現時点では分からないが、「偽装国家(9月2日の項)」の一端を担ってしまったと見なされてもやむを得ないのではなかろうか。
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