« 私の『夏草冬涛』 | トップページ | 党首会談を巡る既視感 »

2007年11月 6日 (火)

小沢辞意表明を巡る既視感

小沢民主党党首が4日に記者会見を開いて、辞職願を鳩山幹事長に提出済みであることを明らかにした。
衝撃的なニュースではあったが、小沢氏は、「辞職願を提出して進退を委ねた」としているようだし、民主党の大勢は慰留する方向のようだから、小沢氏が翻意する可能性も高いと考えられる。
それはそれとして、報道に接して、多くの人が、既視感(デジャヴュ)に近い感覚を覚えたのではないだろうか。

既視感を覚える要因の第一は、小沢氏の行動パターンとして、「またか」という感じがすることである。
7月の参院選で民主党が参院第一党となり、政権交代に向けて攻勢をかけて行く局面ではないか、というのが大方の認識だったのではないだろうか。
その意味では、「まさか」である。
しかし、1992年に竹下派を割って羽田派(改革フォーラム21)を立ち上げ、翌93年新生党を結成して、8党派連立による細川政権を樹立して以来、党派の離合集散を主導してきたことは記憶に新しい。
「剛腕」とか「壊し屋」と呼ばれる軌跡である。

第二には、9月12日の安倍首相の辞任表明(9月13日の項)との関連である。
政局の変転は早いから、もう昔の出来事のような気がしないでもない。
安倍さんも過去の人になってしまっているが、まだ2ヵ月足らずしか経っていないのだ。
もちろん、総理大臣と野党の党首では重みが違うとも言えるし、安倍氏の時に比べれば、説明責任を果たそうという姿勢も窺われる。
それにしても、やはり唐突感において、似たような印象を受けることは拭えない。

小沢氏は、代表を辞職する理由として、以下のようなことを挙げている。
1.民主党は未だ力量不足で、国民から政権能力ありと判断されていず、次の選挙での勝利は危うい
2.という状況ならば、政策を実現するためには、政権に加わることがベターだと判断する
3.そこに、福田首相から「大連立」」(自・公・民)案をもちかけられた
4.それを党に持ち帰ったところ、役員会の全員から反対された。自分に対する不信任と同様の事態と判断した
5.また、民主党に不利なマスコミ報道が多く、自分が代表でいることが党利に反するのではないかと判断した

2度にわたって行われた党首会談の実際に関しては、マスコミ報道等を通じてしか知る由もないが、上記の小沢氏の発言内容は、不自然な感じが残る。
何よりも、政権交代を可能にする二大政党制というのが、小選挙区制導入以来の小沢氏の持論ではなかったのか。
民主党の政権担当能力に関する判断や国民の評価は置くとしても、参院選前よりも総体的な力関係が不利になっているとは思えない。
もっとも、参院選で民主党に「勝たせ過ぎた」という感覚もあることは事実だろう。
しかし、それをどうクリヤしていくかこそ、党首の手腕というものではないのだろうか。

ドイツでは、アンゲラ・メルケル率いるキリスト教民主同盟 (CDU)が、ドイツ社会民主党(SPD) 、キリスト教社会同盟 (CSU)と「大連立」を組んでいるし、オーストリアでは、アルフレート・グーゼンバウアー率いるオーストリア社会民主党(SPÖ)が、第2党のオーストリア国民党(ÖVP)と大連立を組んでいる。
つまり、「大連立」は、帝国アメリカの流動化現象に対応するための知恵ある対応なのだ、という見方もあるようである。
国内情勢が安定していることが国益に適うという判断である。

しかし、現在の日本で、もし自・公・民の「大連立」が成立すれば、野党は弱小政党だけとなり、大政翼賛会の再来といった状況になる。
国際関係的に、政権基盤が安定することが好ましいといっても、それが本当にいいことなのか。
民主党も寄り合い所帯で一概には言えないにしても、大勢が、大政翼賛会的情勢を選択しないであろうことは小沢氏もよく認識していたと思われる。

とすれば、小沢氏の辞任表明の背後には、未だ明らかにされていない(あるいは明らかにすることのできない)事情が存在しているのかも知れない。
例えば、政治資金関係の事情については、以前からいろいろ言われている。
話題の防衛商社・山田洋行からも、返還済みとはいうものの相当額の献金を受けていたというし、テニス旅行などの過剰接待疑惑が報じられている自衛隊出身(元空将)の田村秀昭元参院議員は、小沢氏と近い立場だったと言われる。
そういった辺りで、何らかの圧力があったのではないか、というようなことが単なる妄想であれば幸いである。
この既視感が、「いつか来た道」を再来する予兆でないことを信じたい。

|

« 私の『夏草冬涛』 | トップページ | 党首会談を巡る既視感 »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/395349/8769724

この記事へのトラックバック一覧です: 小沢辞意表明を巡る既視感:

« 私の『夏草冬涛』 | トップページ | 党首会談を巡る既視感 »