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2007年11月29日 (木)

『俳句とあそぶ法』…③季語

俳句とあそぶ法』では、「季語」に、「4 よくぞ日本に」「5 動不動」「6 禁忌は禁忌」と3章を費やしている。それだけ、俳句における「季語」の位置づけを重視しているということだろう。
季題と季語の関係について、季題は、この題で詠めと宗匠に命じられた段階の言葉で、それが一句の中に使われたとき季語になる、という使い分けがあることを紹介しつつ、江国さんは、いまのところ同義に用いられている、としている。

江国さんは、季題(季語)というものは、四季がはっきりしている日本の風土に育まれたおのずからなる知恵の集積である、とする。
季題(季語)の一語一語は、日本だけに存在するような繊細で微妙な季節感を示している。
日本だけのもの、ということは、例えばBAIU(梅雨)という言葉が、翻訳が不可能で国際気象用語になっているという、などということである。
降りみ降らずみ(降ったり降らなかったり)」という表現なども、日本語に固有のものだろう。
と上げていけば、キリがない。

日本という国は、まさに季語の宝庫であって、豊かで陰影に富んだ季節感を味わえる国である。
『徒然草』の十九段で、吉田兼好も、「折節の移り変るこそ、ものごとにあはれなれ」として、四季の移ろいの興趣を詳しく綴っている。
あるいは『枕草子』で、清少納言は、「春はあけぼの。やうやうしろくなりゆく山ぎは、少しあかりて、紫だちたる雲の細くたなびき……。夏は夜……。秋は夕暮れ……。冬は……」と、冒頭から四季論を展開している。

季語を集めたものが、「歳時記」や「季寄せ」である。
Amazon.co.jpで検索すると、「歳時記」で2,395件、「季寄せ」で68件がヒットした。
「歳時記」の方は一般名詞的に、例えば「子育て歳時記」のような用例があるので、「俳句歳時記」に絞り込んで検索してみても797件ある。
いかにたくさんの「歳時記」「季寄せ」が刊行されているかが窺われよう。

季語は、暦と密接に関連している。
暦については、「三嶋暦と南部絵暦(11月12日の項)」で簡単に触れたが、明治の新政府になって、太陰暦(旧暦)から太陽暦(新暦)に切り替わった。
このことが、季語に関しても微妙な影響を及ぼしている。
例えば、「春」という言葉は、次のように使い分けられている。
・二十四節季に基づく節切りでは、立春から立夏の前日まで
・旧暦による月切りでは、一月・二月・三月
・新暦による月切りでは、三月・四月・五月
・年度では、四月・五月・六月
・天文学では、春分から夏至まで
・南半球では、半年ズレ
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%98%A5

ある季語がどの季節に属するか、簡単なようで意外に難しい。
「きっこのブログ」に「検定」の問題が載っているので、関心のある人は挑戦されたし。
http://kikko.cocolog-nifty.com/kikko/2007/11/post_2286_1.html
残念ながら私は不合格だった。

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