すだち
知人からたくさんの「すだち」を頂いた。すだちは、WIKIPEDIA(9月6日最終更新)では、以下のように説明されている。
ミカン科の常緑低木ないし中高木。ユズの近縁種であり、日本では古来から馴染みのある柑橘類である。スダチの名は酢橘(すたちばな)に由来する。花期は5-6月頃で白い花を咲かせる。秋頃に果実が実る。青いうちに収穫し出荷するが、熟すとミカンと同様に黄色くなる。
徳島県の特産であり、県の花に指定されている。徳島県の中でも、鳴門市大麻町板東の中山間部において昔から栽培され、昭和の時代には「大麻山の見えないところでは、スダチは育たない」と言われていた。
「すだち」は、ポン酢などに加工されているが、産業廃棄物として捨てられている皮などの搾りかすに、血糖値の上昇を抑える効果のあることが、徳島大学薬学部の高石喜久教授(生薬学)、土屋浩一郎助教授(薬理学)らのラットによる研究で明らかにされた(読売新聞060830)。
今後、人間でも効果が確認されれば、社会的関心を集めているメタボリック・シンドローム対策に有効なサプリメントの開発などに活用できる可能性がある。
食通として知られた作家の立原正秋さんは、「すだち」を、秋を代表する味覚としてこよなく好んでいた。立原正秋文学研究会編著『立原正秋食通事典』青弓社(9706)によれば、以下のようにさまざまな作品で「すだち」に触れている。
「すだちの秋」で九月のはじめに、四国から送られてくるすだちを冷蔵しておき、秋刀魚や松茸を焼いて、横に二つ割にして、その汁を絞りかけると初秋の香りがすると書いている。「秋の香り」では、<ことしは松茸は不作らしい。ずだちが待っているのに松茸が顔を見せないのは不都合だ>と書き、<合鴨鍋にもすだちをしたたらせる。味噌汁にも数滴、香のものにも、野菜サラダにも、すだちは味が中和する。カンパリの水割りに一切浮かべると、味がまろやかになる>ともいい、すだちの<数滴>を絶賛している。
(中略)
「旅のなか」の「モーツァルトと魚」では、柚子とすだちを比べて、香りも味もすだちの方が秀れていると書き、
(中略)
「徳島のすだち」では、<緑色の皮をうすく削ぎこまかく刻んでおくと、なんにでも使える。里芋の煮ころがしを小鉢に盛り、その上にこの刻んだのをかけてみたまえ。色合もよいが味がまた格別である>と書き、徳島のすだちと共に秋を迎え、秋は舌の上からやってくる、ともいっている。
今の季節、焼いた秋刀魚に「すだち」を絞ってかけて食べることは、贅沢な喜びである。幸いにして、その喜びをしばらくの間楽しむことができる。
そして、頂いた「すだち」を知人たちにお裾分けし、この喜びの輪を広げることによってその喜びを何倍かに増幅することができる。
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