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2007年9月 4日 (火)

不正の温床

「またしても……」ではあるが、改造安倍内閣の遠藤武彦農水相が、辞任せざるを得ないことになった。
自身が理事長を務める農業共済組合が、補助金を不正に受給していた件が発覚したことによる。8月27日の改造から僅か1週間である。
自殺した松岡利勝氏、絆創膏の赤城徳彦氏に続くものだから、安倍首相にとって、農水相は鬼門なんだろうとか、「二度あることは三度ある」などと言っている場合ではないようだ。

今回の事件は、遠藤前大臣が理事長を務める「置賜農業共済組合」(山形県米沢市)が 、国から補助金を不正に受給していたというもので、会計検査院から2004年に指摘を受けながら、国庫に返還されていなかったという。
農業共済組合の理事長が農水相に就任すること自体如何なものかと思うが、指摘を受けていながらも返還していないのであるから、過失だったという言い訳は通用しない。
松岡氏もそうだったのだろうが、行政に影響力を持つ族議員と呼ばれる政治家が、業界団体に補助金を給付するように誘導し、当該団体から献金を受ける。典型的な癒着の構造である。

この夏、文字通り猫の額ほどの面積ではあるが、野菜作りにトライした。ナス、トマト、ピーマン、インゲン、オクラ、ネギ、ニラ……と、まあ家庭菜園の定番的なものばかりである。
それでも、ほぼ自分たちで食する分程度は賄うことができた。何よりも、種を蒔いたあと、芽を出し、あるものは勢いよく、あるものは遅々とした感じで、成長していくのを観察すること自体が楽しみである。
まして、それを食卓にのせて味わうときには、多少見た目は冴えなくても、何と言っても生産者の素性がはっきりしている産直品であり、そこに心理的な満足感も生まれてくる。
「農」というには程遠い体験であるが、食材について思いを新たにしていたところだった。

しかし、食材の生産を「業」としてやるとなると、全く別の状況になるだろうことは容易に想像できる。
天候の影響、市況の見通し、省力化のための投資の判断、海外生産品の動向、マクロな産業構造との関連、後継者問題……、課題が山積しているだろう。
もちろん、それは農業に限らず、ほとんどの職業で起きてくる問題ではあるのだが。

人間は、「食」なくしては生きて行けない。
食糧を安定的に供給すること、しかもそれを可能な限り公平に、安全に行うことは、いつの時代でも最重要の政策テーマである。
だから、農業の保護・育成の努力が続けられ、その結果さまざまな規制や補助金など助成措置が生まれた。
利権と裁量の構造である。
しかも、土地と切り離せない産業なので、地域振興など多くの政策課題と関連してくる。
農業行政は、もともと不正の温床となり易い素地を持っているといえよう。

であればなおさら、政治の責任者は、「李下に冠を正さず」という言葉もあるように、疑いを招くような行動はしてはならないはずだ。
しかし、遠藤前大臣は、冠を正すどころか、李に直接手を出している。
普通に考えれば、そんなことバレないはずがないではないか。どうして平然と任命を受けたのか不可解であるし、任命する側も事前に分からなかったのかがむしろ不思議である。
それにしても、安倍首相が、辞職は本人の意思と強調しているのも解せない。はっきりと、「更迭した」と言い切るべきではないか。
今回の更迭劇は、与謝野-麻生ラインのイニシアティブで進められ、安倍首相は蚊帳の外だったという。
勘繰れば、安倍倒閣のための謀略ではないか、という気さえしてくる。

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コメント

またしても安倍内閣ですね。
「内閣改造」とは形だけで、
対して変わりないような・・・?

遠藤農水相の記者会見も、なんとも軽い感じで、
話す時間がなかったなんて言い分けしたり・・・。
今朝のニュースでも、
鴨下環境相、資金団体「借入金800万円」説明できず、
なんて、またまた!!@ー@
次から次へと、
ま〜よく出ますよね。
もう・・・がっかりだよ〜!!!

しかし、
・・・ただひとり、
今のところ正義感の塊のような、舛添厚労相☆

・・・裏切らないで欲しい・・・。

舛添さんに「期待」です!
^ー^

投稿: ryo | 2007年9月 5日 (水) 10時58分

有り難うございます。
身の回りからは、「こんなもの誰も読まない!」と厳しい目で見られていますが、確かに一般受けしない内容だろうと自分でも思っています。
でも、試運転中だし、自分の好奇心を確認しているところなので、それでいいのさ、と開き直り。
安倍さんも、何だか気の毒に思えて同情したくなってくるということは、いいのか悪いのか(悪いに決まっているだろうけど)。
そんな感じですね。

投稿: 管理人 | 2007年9月 5日 (水) 18時07分

山の友 誰だかわかりますね。ブログ開設おめでとう。
ここまで読んできて、やっとコメントを書ける記事に会う事が出来ました。
今までの記事はとても難しく、私の単純な頭ではなかなか理解できません。
政治の話なら、多少お付き合いできそうです。
今日から臨時国会が始まりましたね。末期的な倍内閣がこれからどうなっていくのか、注目していきたいと思います。

投稿: 山の友 | 2007年9月10日 (月) 19時52分

山の友様

早速に恐縮です。
我ながら青臭いとは思いつつ、くだけた表現というのも身に付いていないので、自分流で書いていくしかないようです。
自分の関心領域が拡散しがちなので、テーマを絞っていくためにも、ブログが役立つかなと思っていたのですが……
とりあえず「流れに身を任せ」でやってみます。

投稿: 管理人 | 2007年9月10日 (月) 23時49分

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