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2007年8月19日 (日)

プチ旅行①湯の宿

夏になるとどこかへ出かけよう、という習性が抜けない。といっても、最近はもっぱら「安・近・短」である。
今年は、16、17日に山梨県の芦安温泉に一泊旅行に行ってきた。長姉夫婦、次姉、妻の内輪だけだから、至って気が楽である。俳句もどきをひねったりしながら、温泉を楽しむことができた。

芦安温泉のある南アルプス市は、2003年4月1日に、「平成の大合併」によって誕生した。
南アルプス市の名前は一般公募をもとに決定されたとのことだが、カタカナの使用に対しては反対意見もあるようだ。
日本的でないとか、日本語の冒涜だというような意見であるが、それはまあ好みの問題ということだろう。
カタカナが好ましくない、というのならば、南アルプスという表現自体を問題とすべきだ。しかし、南アルプスは、日本の山岳地名として十分に定着している。
また、カタカナも立派な日本語である。
私は、美しい日本語は大事に護りたい、という立場ではあるが、南アルプス市については、それ程目くじらを立てるようなことではないのではないか、と思う。
端的に南アルプスの山麓という市のアイデンティティを示しているし、カタカナ使用は目立つという効用もあるだろう。

芦安温泉へ行くならば、近くの夜叉神峠に行ってみたいと思った。夜叉神というなにやらおどろおどろしい名前がちょっと気になるところだし、白根三山(北岳、間の岳、農鳥岳)の眺望が素晴らしいという。
結婚して間もないころ、妻と2人でテントを背負って北岳に登ったことがあり、その白根三山を眺めてみたいと思ったのだ。
北岳は富士山に次ぐ標高だが、北岳に登頂した日は快晴で、農鳥岳までくっきりと展望できた。せめて間の岳まで行ってみたい気がしたが、妻の脚力と疲労度を勘案して断念したのだった。
その三山を眺望できれば、と考えたのだが、他の3人が「この暑さの中をとても行く気がしない」ということなので、夜叉神峠は断念し、のんびり途中で寄りたい所に寄ることにした。

先ずは、NHKの今年の大河ドラマの『風林火山』とも関係の深い武田神社だ。
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武田神社は、躑躅ヶ崎の武田家の居館跡である。
私は大河ドラマを殆んど見ないが、ちょうどいい機会なので宝物殿も拝観した。境内は蝉がにぎやかに鳴いている。

  つわものの夢はるかなり蝉時雨

武田神社境内の松は、葉(針)が3本だという。実際に落ち葉を拾って確認してみた。Pict00104_2

信玄は、御勅使川が釜無川に合流する地点の「信玄堤」に名を残すように、治水に長けていた。
聖牛と呼ばれる水防工法が特徴で、「自然の力を以って自然を制する」ことに狙いがあり、甲州流と呼ばれた。
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八ヶ岳山麓の「三分一湧水」も信玄ゆかりと伝えられるが、こちらの方は史実かどうか疑問もあるらしい。
しかし、そういう伝承があることは、信玄が治水のみならず利水にも卓越していたことを示すものだろう。まさに「水を治める者は、国を治める」である。

武田神社から、ほど近い昇仙峡に回った。何回か来ているが、初めて影絵美術館に入り、ロープウェイに乗ってパノラマ台まで行った。
影絵美術館では、藤代清治氏の影絵作品の他、山下清氏、水木しげる氏の絵の展示と共に、漫才師の内海桂子さんの「どどいつ絵画」や女優の東ちずるさんの絵本の原画など盛り沢山の展示を楽しめた。

  風青き影絵の森を尋ねけり

美術館の入館券とセットになっているロープウェイでパノラマ台まで昇った。結構高いところのはずだが、やはり炎暑だった。うぐいす谷という展望場所から見る積乱雲に盛夏を感じる。

  次々とうぐいす谷に夏の雲

昇仙峡から、芦安温泉に向かった。われわれが泊まったのは、岩園館という芦安温泉で一番大きく古い旅館だ。23部屋あるという。
1998年に改装して、新館の東館ができたが、古い方の本館に泊まった。3つの大浴場があり、湯治等にも好適な湯の宿である。登山客も結構宿泊していたようだ。
宿に着いて夕食まで少し時間があったので、近くの滝を見てこようということになった。
滝に向かい始めて間もなく、雨がパラパラ降り出した。引き返そうと思っているうちに、急に雨足が強くなりはじめ、慌てて宿に戻った。

  夕立に追われる如く宿に入る

その内に、雨は一段と激しくなり、稲妻が走り、宿の前の御勅使川の水があっという間に茶色の激しい流れに変わった。

  芦安の谷を切り裂く稲光り

展望風呂に入って部屋に戻って見ると、何と雨漏りがしている。宿の人の説明だと、こんな降り方は初めてだという。
そんなこともないだろうと思いつつ、一応雨漏りが止まり、満室で変われる部屋もないとのことなので、部屋はそのままとした。
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夕食は旅館という感覚だといささか淋しいが、われわれ位の年齢にはちょうどいいくらいのボリュームだ。食べ切れない程の料理が並んでも、メタボリック症候群の身には切ない。岩魚が旨かった。  

  夜叉神という名の酒を飲みながら岩魚愛でたり芦安の宿

満室で100人くらいの宿泊者がいたが、幻の魚といわれる岩魚も養殖できるようになったのだろうか。
食事をしてるとき、峡谷の向こうに虹がかかるのを見た。虹を見るのも久しぶりだ。

  万緑の湯の宿に来て和みけり

 

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