2017年12月11日 (月)

リニア建設工事利権と受発注疑惑/アベノポリシーの危うさ(329)

中央(リニア)新幹線は、超伝導を利用した新しい高速輸送システムである。
品川-名古屋間を約40分で結び、2027年の開業を目指している。
大阪までは約70分で、37年の全線開業予定だ。
技術者ならずとも胸が躍る話題である。

総工費9兆円と言われているが、この種のものは最終的にどうなるかは分からない。
いずれにせよ巨額の資金が動くことは間違いない。
中央新幹線関連⼯事を巡り、東京地検特捜部が偽計業務妨害容疑で大手ゼネコン「大林組」の強制捜査に着⼿したことが報じられている。

Ws000000
 9日未明。東京都港区港南2の大林組本社から、特捜部の係官がワンボックスカーで押収品を運び出した。
 本社の近くには、大林組が受注した4件のうち、品川駅(南工区)の工事現場がある。9日は地上の工事が行われず、警備員の男性は「日曜以外はいつも工事をやっているのだが……」と首をかしげた。大林組の現場担当者は取材に対し「(休みになったことが)事件の影響かはお話しできない」と話した。
 リニア関連工事の別工区を受注した別の大手ゼネコン幹部は「リニア関連の入札は不調になったことがある。当時は全国的に労務費が上昇し、建設資材も高騰しているのに(JR東海側の)予定価格が低く抑えられたままで、いろんな入札が不調になっていた」と漏らす。そのうえで「品川駅は大林組の本社があるお膝元。重視して営業をかけていたのは事実だろう」と推測した。
 ある準大手ゼネコン社員は「大林組はJRの工事に強い印象がある。リニアはトンネルが多く、工事が難しい。南工区を大林組のような大手が受注したこと自体は不自然と思わなかった」と語った。
 一方、リニア中央新幹線建設に反対する市民グループ「リニア・市民ネット」代表の川村晃生(てるお)・慶応大名誉教授は「巨額な投資を伴う事業で利権は非常に大きい。財政投融資を活用しており、不正が事実なら民間レベルにとどまる問題ではない。捜査の動向や事業を認可した国土交通省の対応を注視したい」と話した。
 国交省の担当者は「JR東海にも事情を聴き、情報収集に当たっている」としている。
リニア中央新幹線 入札不正疑い、大林組捜索 夢のリニア、業界に衝撃 工費9兆円、巨大な利権

民主党政権時代に「コンクリートから人へ」というスローガンが打ち出された。
有用・有益なコンクリートもあるのだから、いささか乱暴な表現と言わざるを得ないが、土建政治から訣別しようという姿勢は重要だったと思う。
リニア新幹線の工事には、水系を中心にした生態系のアセスメントが不十分のように思われる。

ここしばらく芳しい実績のなかった東京地検特捜部が、どこまで真相(深層)に迫れるか?
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2017年12月10日 (日)

「裸の王様」状態が昂進する安倍首相/アベノポリシーの危うさ(328)

安倍首相は、周りを自分の仲間で固め、それが「裸の王様」状態になっていることに気が付いていないようだ。
⇒2013年10月17日 (木):安倍首相は裸の王様か?/アベノミクスの危うさ(16)
⇒2014年11月27日 (木):続・安倍首相は裸の王様か?/日本の針路(76)
⇒2015年12月12日 (土):続続・安倍首相は裸の王様か?/アベノミクスの危うさ(64)
⇒2017年4月 8日 (土):森友疑惑(42)「裸の王様」の末路/アベノポリシーの危うさ(179)
⇒2017年5月29日 (月):加計疑惑(8)「王様は裸だ」と言った前川前事務次官/アベノポリシーの危うさ(219)

側近の一人に、首相のツイッターのアカウントの管理者と言われた山本一太氏がいる。
⇒2015年5月 4日 (月):安倍首相のツイッター成りすましの喜劇/日本の針路(145)

こういう縁故主義的な手法がさまざまな歪みを生んできたが、国会質疑にも現れている。
質問時間を増やせと言って、増えた質問時間で何をしたか?
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東京新聞12月6日

これを茶番と言わずして・・・。

 山本氏はまず、安倍政権の進める成長戦略との兼ね合いについて質問し、安倍首相は、「成長戦略の大きな柱」だとして、山本氏にクールジャパン戦略を推し進めてほしいと述べた。しかし、山本氏は、それだけでは満足できないらしく、こう安倍首相に求めた。
  「法案について、総理に一言、『応援している』と言っていただけますか?」
・・・・・・
 ツイッター上では、山本氏が応援を求め、安倍首相と世耕経産相が応援を約束するシーンだけが切り取られて動画投稿された。この投稿は、1万件以上もリツイートされ、山本氏と安倍首相らへのやり取りに批判的な声が上がっている。
  「税金で何やってんの?国会議員は」「いったいなんなんですかね この茶番劇!! 」「国会で友達ごっこはやめてくれ」...
山本一太・安倍首相質疑で「友達ごっこ」 野党の質問時間減らしの果てに出てきた「茶番劇」

ツイートの一例である。
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拉致被害者のことなどそっちのけで、トランプ大統領と一体になって、危機を煽っている。
トランプ-安倍ペアは、軍需産業への貢献がミッションと考えているかのようだ。

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2017年12月 9日 (土)

いかがわしい安倍夫妻の交友人脈/アベノポリシーの危うさ(327)

「類は友を呼ぶ」という言葉を裏書きしているのだろうか?
スパコン開発の星と目されていたベンチャー企業の社長が詐欺容疑で東京地検特捜部に逮捕されたが、その社長が安倍首相との近さを売りにしている元TBS記者の御用ジャーナリスト、山口敬之氏の“パトロン”だった。
⇒2017年12月 8日 (金):スパコン補助金詐取容疑者と山口敬之/アベノポリシーの危うさ(326)
⇒2017年6月21日 (水):アベ友・山口敬之氏の超弩級疑惑(4)/アベノポリシーの危うさ(239)
⇒2017年6月 3日 (土):アベ友・山口敬之氏の超弩級疑惑(3)/アベノポリシーの危うさ(224)

安倍首相夫人の昭恵氏も、大麻への傾倒やカルト的人物との交流が有名だ。
⇒2017年4月 9日 (日):森友疑惑(43)昭惠夫人の壮大な勘違い/アベノポリシーの危うさ(180)
⇒2017年4月12日 (水):森友疑惑(44)重要参考人・安倍昭惠/アベノポリシーの危うさ(181)
⇒2017年4月17日 (月):森友疑惑(46)昭惠夫人と反社会的勢力/アベノポリシーの危うさ(183)

昨年10月に大麻所持容疑で逮捕された鳥取県の大麻加工販売会社社長も、元女優の高樹沙耶も昭恵夫人と親交があった。
森友学園の籠池前理事長を含め、わずか1年余りの間に、オトモダチが4人も逮捕されている。
普通は首相夫人ともなれば、身辺に気をつけるだろう。

スパコン開発の斎藤社長も、山口敬之氏の人脈をフル活用したようである。
内閣府の経済財政諮問会議「2030年展望と改革タスクフォース」で共同座長を務め、自民党の「経済構造改革に関する特命委員会」に講師として招かれた。
百田尚樹氏と共通する匂いである。

斉藤容疑者は巨額投資が必要なスパコン開発のために資金繰りにあれこれ苦労していたようである。

 民間の信用調査機関などによると、関連会社で尋常ではない増資が繰り返されていた実態が見受けられるのだ。これらの増資に助成金が充てられていた疑いもあり、特捜部が資金の流れを調べているという。
Ws000000 ペジー社のスパコンの“核”である高効率液浸冷却装置の製造をする「エクサスケーラー」社は、2014年4月に資本金5000万円で設立されたが、その後、今年6月までの3年間で、実に13回もの増資を行い、現在資本金は27億円にまで膨らんでいる。
「メディアなどで技術力は評価を受けていましたが、売り上げや利益を思うように計上できず、財務状態は追いついていなかったと推測されます。資金は助成金や投資としての直接調達がメインだったようです」(調査機関関係者)
・・・・・・
 そして驚くのは、会社はカツカツのはずなのに、斉藤容疑者が住んでいたのが、御茶ノ水の高台にある高級賃貸レジデンスだということ。17階建てのビルは下はオフィス、上層部の4フロアが住宅で、1戸の広さはナント126平方メートル。「外国人エグゼクティブにもお薦めのゆったりとした間取り」と不動産情報サイトで紹介されるようなゴージャス物件だ。
 斉藤容疑者は、安倍首相と親しい元TBS記者の山口敬之氏が事務所にしていた高級賃貸レジデンスの費用も負担していたと「週刊新潮」に報じられているが、そうした費用はどこから出ていたのか。また、自転車操業の財務力にもかかわらず山口氏に便宜を図っていたとしたら、そこまでしたのはどうしてなのか。闇は深そうだ。
アベ友スパコン詐欺 3年13回の怪しい増資と金満生活の闇

何やらバブル時代を彷彿とするような話である。
金融緩和政策の副作用や出口戦略に思いが向かないような安倍首相は、本気で株価の高騰を「アベノミクスの成果」と喜んでいるのかも知れない。

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2017年12月 8日 (金)

スパコン補助金詐取容疑者と山口敬之/アベノポリシーの危うさ(326)

5日、スパコン企業の社長が詐欺容疑で東京地検特捜部に逮捕された。
逮捕されたのは、スーパーコンピューターの開発を手がけるベンチャー企業「ペジーコンピューティング」社長の斉藤元章容疑者と元事業開発部長の鈴木大介容疑者である。
2人は共謀し、2014年2月、NEDO(国立研究開発法人「新エネルギー・産業技術総合開発機構)から助成金をだまし取ろうと考え、助成事業に要した費用が約7億7300万円だったとする虚偽の書類を同機構側に提出。同3月に約4億3100万円の助成金を振り込ませて詐取したとしている。
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東京新聞12月6日

ペジー社などが開発し、国立研究開発法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)横浜研究所に設置されたスパコン「暁光」は、11月13日に発表された世界のスーパーコンピューターランキング「TOP500」で4位、Green500で5位に入った。
言わば「ベンチャー企業の星」的な存在である。

しかし、斎藤容疑者にまったく別の顔があることが報じられている。
安倍首相と昵懇で知られる元TBS記者の山口敬之氏の“スポンサー”と言われる人物としての顔である。
山口氏は準強姦容疑を問われており、刑事的には不起訴の扱いが決まったが、民事は係争中である。
⇒2017年5月12日 (金):アベ友・山口敬之氏の超弩級疑惑/アベノポリシーの危うさ(206)
⇒2017年5月15日 (月):アベ友・山口敬之氏の超弩級疑惑(続)/アベノポリシーの危うさ(208)
⇒2017年6月 3日 (土):アベ友・山口敬之氏の超弩級疑惑(3)/アベノポリシーの危うさ(224)
⇒2017年6月21日 (水):アベ友・山口敬之氏の超弩級疑惑(4)/アベノポリシーの危うさ(239)

 斉藤容疑者と山口氏の親密な関係を報じた「週刊新潮」(6月15日号)によれば、山口氏は永田町のザ・キャピトルホテル東急の賃貸レジデンスで暮らしており、その家賃を払っているのが斉藤容疑者だという。平均家賃130万円という超高級賃貸だ。記事では「斉藤さんが借りている部屋を使わせてもらっているという話がありますよ」「山口さんはTBSにいるころから斉藤社長と知り合いで、去年5月に会社を辞める時に顧問のようなポジションを用意されたと聞いています」という永田町関係者のコメントも紹介している。
「ペジー社への家宅捜索には、国税局も一緒に入っている。今回の詐欺容疑以外にも不透明なカネの流れがあるようです」(大手紙社会部記者)
 捜査が進めば、別の助成金受給でも不正が発覚する可能性がある。なにしろ「ペジー社が受給した税金は総額で100億円以上になるのではないか」(経産省関係者)と言われているのだ。
「当方は10~17年度にかけ、ペジー社の事業5件に助成金を交付しています。総額は約35億2400万円です。別の研究開発法人などからも助成金を受け取っていたかは分かりません」(NEDOの担当者)
 それにしても、なぜ斉藤容疑者はスパコンの専門家でもない山口氏を厚遇したのか。巨額の補助金と何か関係があるのか。
 斉藤容疑者は11日放送のNHK番組「プロフェッショナル 仕事の流儀」に登場する予定だったが、NHKは逮捕直後に放送見送りを決めた。
「特捜部が前々からペジー社の捜査をしていたなら、NHKが情報を得ていないはずがない。逮捕当日まで斉藤容疑者の番組が放送予定だったのは、事件が急展開した証拠です。それも、いきなり逮捕ですから、何か特別な力が働いたのではないかという臆測も飛び交っています。新任した特捜部長の“初荷”が、4億円のケチな詐欺で終わるとも思えません」(前出の社会部記者)
 国会では、山口氏が15年4月にジャーナリストの伊藤詩織さんをレイプし、発付された逮捕状が逮捕直前に執行停止になったとされる問題が追及され始めた。11月30日の参院予算委で、社民党の福島みずほ副党首が山口氏について「『総理』という本を書いたジャーナリストをご存じですか、面識はあるでしょうか」と質問すると、安倍首相は「私は取材対象として知っている」と答え、距離を置いた。
 安倍首相が当初、「非常に共鳴している方」と持ち上げていた森友学園の籠池前理事長について、雲行きが怪しくなった途端、「非常にしつこい」と手のひら返ししたことを思い出す。そして補助金詐欺での関係者逮捕。まさか山口氏も、籠池氏と同じ運命をたどるのか。
「ペジー社が助成金をだまし取ったNEDOは経産省の所管で、官邸の意向が働きやすい。経産省出身者が暗躍したとされるモリカケ問題と同じ構図で、官邸が関与していたとすれば、政権が吹っ飛ぶ。党内は戦々恐々です」(自民党関係者)
自民激震 逮捕のスパコン社長は“アベ友記者のスポンサー”

こうまでスキャンダルに塗れた政権も珍しいだろう。
結局、安倍首相の縁故優遇的なことが根本にあると言わざるを得ない。

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2017年12月 7日 (木)

森友疑惑(61)起点は安倍首相夫妻/アベノポリシーの危うさ(325)

3日のTBS系情報番組「サンデーモーニング」のインタビューで、福田元首相は、森友問題で財務省が公文書を破棄したと説明したことに対し、「会計検査院が審査すらできないのは論外」と怒りをぶちまけた。

「(記録廃棄を)正々堂々とやりました、みたいな言い方をすべきではない。間違っていましたぐらいのことを言うべき」。佐川宣寿国税庁長官の理財局長時代の国会答弁を振り返り、ズサンな公文書管理について批判した福田氏。だが、本当に批判したかった相手は財務省じゃないだろう。
・・・・・・
 福田氏は8月にも共同通信の取材に「政治家が人事をやってはいけない。安倍内閣最大の失敗」「国家の破滅に近づいている」と政権批判していた。おそらく今回のTV出演も怒りの矛先は安倍首相だ。
テレビで森友問題を痛烈批判 福田康夫元首相の“アベ嫌い”

いつまで森友・加計をやっているのかという批判があるが、そうさせているのは安倍夫妻である。
音声データを財務省が認めたことにより、財務省の森友学園に対する異例の厚遇が、安倍昭恵夫人の存在抜きにはありえないことが明らかになっている。
⇒2017年11月28日 (火): 森友疑惑(57)財務省の「忖度」/アベノポリシーの危うさ(321)
⇒2017年11月29日 (水): 森友疑惑(58)値引きのための「ストーリー」/アベノポリシーの危うさ(322)
⇒2017年11月30日 (木): 森友疑惑(59)財務省はなぜ厚遇したのか?/アベノポリシーの危うさ(322)
⇒2017年12月 1日 (金): 森友疑惑(60)高橋洋一氏の的外れ/アベノポリシーの危うさ(323)

この間の経緯を俯瞰すれば以下のようである。
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東京新聞12月6日

起点は安倍夫妻であり、籠池夫妻だけを悪者にはできない。
籠池夫妻は未決拘留中であり、共謀罪と未決勾留をドッキングさせれば、大方の人の人生を左右できるだろう。
安倍夫妻が逃げ回っていては、いつまで経っても解決しない。

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2017年12月 6日 (水)

北村薫『ビスケット』/私撰アンソロジー(50)

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北村薫『遠い唇』KADOKAWA (2016年9月)の中の『ビスケット』の一節。
北村氏は本格ミステリー作家クラブの発起人の一人であり、初代事務局長を務めたことでも分かるように、本格派のミステリー作家である。
本格派ミステリーは論理性を旨とするが、小説である以上、文学性も重要な要素であろう。
私は、文学趣味が横溢した『六の宮の姫君』創元推理文庫 (1999年6月)を読んで、熱心な読者とは言えないけれど、ファンになった。
芥川龍之介の短編『六の宮の姫君』角川文庫(1958)の創作意図を解き明かすために、芥川の交友関係を探っていく設定のミステリーである。

遠い唇』も、論理性と芸術性が融合した極上の一冊である。
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同書の後書きにあたる「付記ーひらめきにときめき」に、次のような文がある。

わたしが好んで書く《名探偵》は、論理というより、常人の持たないひらめきによって真相に到達するのです。瞬時に、別世界を見てしまう特別な目を持っている。わたしはそれにときめくのです。

著者の言う「ひらめき」とは、セレンディピティと言われるものだろう。
セレンディップは予期しない創造的な発見のことで、ノーベル化学賞を受賞した白川英樹博士の受賞記念講演で有名になった概念である。
「偶然に掘り出し物を見つける能力」などと説明されている。
⇒2016年9月26日 (月):回路から漏出する電子とセレンディピティ/技術論と文明論(72)

ノーベル賞に繋がる業績は、偶然得られた結果かも知れないが、その意味や価値を見逃さない認識力があったからこその業績であると言えよう。

北村氏の言葉を目にしたとき、電通の第4代社長・吉田秀雄氏の「広告は、科学であり、芸術である」という言葉を連想した。
吉田氏は、同社を現在のような広告の巨人なる礎を築いた人として知られ、同社の社訓だった「鬼十則」は同氏の言葉である。
「鬼十則」は、私などのように電通に無関係の人間にも大きな影響力を持ったが、最近は「働き方」の悪しき例として有名になってしまった。
5 取り組んだら放すな! 殺されても放すな! 目的を完遂するまでは・・・
などが、過労死を招いた要因であるとされ、電通の社員手帳からも削除されたという。

しかし、クリエイティブな仕事は本質的にキリがないもので、成果は時間の関数ではない。
「鬼十則」の精神が、同社発展の原動力となったことは否定できない。
「鬼十則」の否定は、電通の自己否定のように思われる。
⇒2016年10月30日 (日):電通「鬼十則」の功罪/日本の針路(301)

前川佳一『パズル理論』白桃書房 (2013年5月)によれば、研究開発業務は「ジグソーパズル型」と「知恵の輪型」に大別される。
前者は、ゴールのイメージが明確で、努力を継続すればいずれはゴールに到達できるもので、後者は完遂できるかどうか不確定なものである。
新車の開発などが前者であり、青色LEDの開発などが後者である。

北村氏が「論理」と言っているのは「ジグソーパズル型」に相当し、「名探偵のひらめき」を必要とするのが「知恵の輪型」といえるだろう。
「知恵の輪型」業務のマネジメントは、今後重要性を増す課題だと思うが、上意下達を旨とする日本社会の弱点である。
青色LEDの開発に成功した中村修二博士なケースが典型であろう。
⇒2007年12月11日 (火):青色LEDの場合
⇒2009年4月23日 (木):LEDの技術開発への期待
⇒2014年10月 7日 (火):青色LEDでの三教授のノーベル賞受賞を寿ぐ/知的生産の方法(104)

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2017年12月 5日 (火)

計算化学の第一人者・諸熊奎治/追悼(113)

計算化学の第一人者である諸熊奎治博士が亡くなった。

Photo 計算化学の第一人者で京都大福井謙一記念研究センター研究員の諸熊奎治(もろくま・けいじ)氏が、11月27日に京都市内の病院で病気のため亡くなっていたことが4日、分かった。83歳。葬儀・告別式は近親者で行った。
 諸熊氏は京都大工学部卒。同学部石油化学科の教授だった故福井謙一氏の研究室に大学院時代から加わった。福井研究室の助手を経て1964年に渡米し、米ロチェスター大教授などを経て76年に帰国。分子科学研究所(愛知県)で電子計算機センター長を務め、93年から2006年まで米エモリー大教授を務めた。06年から現職。
 量子化学など理論化学にもとづく分子の構造や反応などの理論的予測、計算法の研究を進め、分子をタマネギのように多層化して計算する「ONIOM法」の開発などで知られ、理論、実験と並ぶ第3の研究手法として計算化学を発展させた。京大でもさまざまな化学反応のメカニズムをコンピューターで解析する研究に取り組んだ。
 ノーベル化学賞の有力候補者だった。13年の同賞は化学反応をコンピューターで計算する手法の開発が授賞業績で、スウェーデン王立科学アカデミーは同分野の発展に尽くした1人に諸熊氏の名前を挙げていた。
 エモリー大名誉教授、分子科学研究所名誉教授。12年文化功労者。
諸熊奎治氏が死去 計算化学の第一人者、ノーベル賞候補

化学と言えば一般には「実験」のイメージがあるだろう。
つまり経験科学である。
その化学の非経験化に挑戦してノーベル賞を受賞したのが福井謙一博士だった。
福井博士は工学部燃料化学科(後に石油化学科に改称・改組)の教授であった。
理学部でなく工学部であるところがユニークである。
それは、喜多源逸、兒玉信次郎らによって培われてきた自由を尊び、基礎を重視する学風の中で開花した。
⇒2009年10月10日 (土):プライマリーな独創とセカンダリーな独創

福井博士から直接の指導を受けた第一世代の5人が『量子化学入門』化学同人(1963年)という著書を書いた。
米澤貞次郎、加藤博史、永田親義、今村詮、諸熊奎治の諸氏である。
量子化学を勉強する人の必読書と言われる。

上記記事にあるように、2013年のノーベル賞は計算化学分野に対して授与された。
諸熊博士の業績も大きな貢献をしたが、残念ながら直接の受賞者とはならなかった。
しかし、諸熊博士をも育んだ基礎と自由を重視する学風は現在でも引き継がれている。
⇒2017年9月25日 (月): 日本の研究力を回復するために・基礎と自由/日本の針路(330)

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2017年12月 4日 (月)

親安倍のイデオローグ(4)見城徹/アベノポリシーの危うさ(324)

「ZAITEN]という雑誌がある。
かつて『財界展望』というの誌名だったが、しばらく見ないうちにリニューアルしたようで、発行元も「株式会社財界展望新社」となっている。
Wikipediaでは次のように解説している。

基本的には経済誌、ビジネス誌である。内容は大企業の内情(怪文書など)を取り上げた記事や、経営者(重役)の動向や私生活、現住所などを「あの人の自宅」と称して、写真付きで連載記事にしている。同種の雑誌と見られる「財界」や「経済界」が企業サロン誌であるのに対して、ZAITENは有力企業の経営者や政治家(主に自由民主党)、官僚を批判する記事が多い。

最新の2018年1月号の表紙は以下のようである。
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見ての通り、幻冬舎の見城徹氏の批判記事がウリになっている。
私は、一時期、幻冬舎という出版社に好意的だった。
1993年の設立で、命名には五木寛之氏が係わった。
2003年に店頭市場で株式を公開した。
見城氏の個人会社の色彩が強く、上場企業として必要なオープン性を保てるか疑問だったが、2011年に上場廃止した。

幻冬舎は数多くの大ヒット作を出している。
その点は間違いなく商売上手であり、それはおそらく一世を風靡した角川春樹氏に学んだことが多いであろう。
しかし、その出版物に違和感を覚えることが増え、現在では不快感さえある。
部数を売ることには成功したが、多くの読書人から顰蹙を買ったものに、百田尚樹氏の『殉愛』がある。
⇒2014年11月21日 (金):百田尚樹の『殉愛』の売り方/知的生産の方法(110)
⇒2014年11月22日 (土):クリティカル思考の反面教師としての百田尚樹/知的生産の方法(111)
百田氏は自他ともに認める安倍応援団である。

また、石原慎太郎氏は昔からの盟友で、ゴルフも良く一緒にやる仲だという。
石原氏が、田中角栄の独白風に描いた『天才』は、石原氏の衰えを感じさせる駄作だと思う。
文芸出版の志はどこに消えたのだろうか?

これらに輪をかけてひどいのが、準強姦事件を問われている山口敬之氏の『総理』および『暗闘』であろう。
⇒2017年5月12日 (金):アベ友・山口敬之氏の超弩級疑惑/アベノポリシーの危うさ(206)
⇒2017年5月15日 (月):アベ友・山口敬之氏の超弩級疑惑(続)/アベノポリシーの危うさ(208)
⇒2017年6月 3日 (土):アベ友・山口敬之氏の超弩級疑惑(3)/アベノポリシーの危うさ(224)

この件は、福島みずほ氏が国会で取り上げられたが、委員長が、なぜか中断させてしまった。
安倍首相に面識の有無を質問して、首相が「取材対象として」知っていると白々しい答弁をした直後である。
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山口氏はTBS時代に番記者であったから知悉のはずであり、安倍首相は逃げを打ったのだろう。

そもそも、執務室での写真をジャーナリストに使わせることも異例だが、中身を読んでも、山口氏が安倍氏の自宅や外遊先のホテルの客室にもしょっちゅう出入りするシーン、第一次政権崩壊後の2008年から安倍や昭恵夫人と定期的に登山をしていたエピソード、さらには、内閣人事案や消費税をめぐってメッセンジャー的な役割まで果たしていたことを、山口氏自らが自慢げに語っている。それを「取材対象として知っている」とは、開いた口がふさがらない。
詩織さん準強姦事件もみ消し問題で安倍首相が山口敬之氏との関係を「取材対象として知ってるだけ」と嘘八百

この問題には菅官房長官の人脈も関係している。
しかし、希望の党の柚木道義議員も取り上げ、大きな問題になるのは必至である。
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【必見】山口敬之氏レイプ&揉み消し事件、希望・柚木道義議員が本格追及!「中村格氏呼んだのに何故来ない?」→凍り付く議場!

山口氏の『総理』は、一読してとてもまともに論評する気にならない代物だった。
こんな本を出し続ける様では幻冬舎や首相の未来はないだろう。
「ZAITEN」記事の一節を切り貼りしておく。0032

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2017年12月 3日 (日)

改元のスケジュール/日本の針路(356)

1979年に制定・公布された「元号法」によって、「元号は、皇位の継承があつた場合に限り改める」とされた。
いわゆる「(一世一元の制」である。
しかし歴史は意外に新しい。
明治政府は、慶応4年を改めて「明治元年」とするとともに、一世一元の詔で天皇一代につき一元号とする一世一元の制を定めた。
明治以前は、天皇の在位中にも災害など様々な理由によりしばしば改元が行なわれていた。
また、寛永や慶長のように、新たな天皇が即位しても、元号が変わらない場合もあったのである。

第二次世界大戦後に制定された日本国憲法、1947年(昭和22年)施行の皇室典範では元号の規定が明記されず、同年5月3日を以って元号の法的根拠は消失した。
しかし、その後も元号が「慣例として」用いられていたが、昭和天皇の高齢化に伴い、元号法制化を求める声が高まり、元号法の制定になった。

最近、自民党の竹下亘氏が、宮中晩さん会の国賓に同性パートナーが出席することについて、「私は反対だ。日本本国の伝統には合わない」と 発言し波紋を呼んだ。
その後撤回したが、、「皇室を考えた場合に、日本人のメンタリティーとしてどうかな という思いが私の中にあったものだから、ああいう言葉になって出 た」と言わずもがなの弁解をして、何が問題なのか分かっていないことを露呈した。
「日本国の伝統」ばどと言えば、保守層に好感されると考える根性がさもしい。

1日の皇室会議で、天皇陛下が2019年4月30日に退位する日程が決まった。
退位を実現する特例法が6月に成立し、政府が退位時期の決定に向けた検討を本格化して以降、宮内庁と首相官邸は妥当な時期を巡り駆け引きを続けたという。

 官邸が昨年から探ってきたのは「18年12月末退位・19年元日改元」案。陛下が退位の意向をにじませる昨年8月のビデオメッセージで「平成30年(2018年)」に触れたからだ。18年の誕生日に85歳を迎えられる区切りの良さもあった。
 先手を打ったのは宮内庁だった。「1月1日は皇室にとり極めて重要な日。譲位、即位に関する行事を設定するのは難しい」。西村泰彦次長が今年1月17日の定例記者会見で18年末退位案について難色を示した。宮内庁が退位を巡って公の場で異例の言及をしたことに、菅氏は「政府の立場でコメントは控えたい」と言葉をのみこんだ。
 「なんだかんだ言っても陛下のお気持ちというのは本当に大きい」。退位特例法の成立後、退位時期をめぐり宮内庁との調整に入るにあたって、官邸の高官はこぼした。
 宮内庁がこだわったのは19年1月7日。昭和天皇の死去から30年の式年祭をいまの天皇陛下で開くことだった。官邸に求めたのは「19年3月末・4月1日改元」案。年度替わりの節目でもある。同庁関係者によると、官邸側に年末年始と3~4月の皇室行事を示し、どちらが皇位継承に伴う陛下と皇太子さまの負担が少ないか説明した。
・・・・・・
宮内庁の山本信一郎長官は11月21日夜、19年4月末退位案が浮上したとの報道を受け、同庁長官室前で記者団に硬い表情で繰り返した。ある宮内庁幹部は「12月1日の皇室会議の日取りを聞いたのが21日夜。4月末退位案は寝耳に水で長官も知らなかったと思う」と話す。
 「4月末」という国民的に決してきりの良くない退位時期。それ自体が、官邸と宮内庁の溝の深さを物語る。
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皇室の事情、官邸のメンツ 退位時期巡り溝浮き彫り

改元は日本人全体に影響することである。
5月1日という日の是非についてはいろいろ意見があろうが、「象徴天皇」というファジーな概念を、全身全霊で追求し実践しようとされてきたことに疑問はない。
静かに滞りなく皇位継承と改元が行われることを願う。

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2017年12月 2日 (土)

東レよ、お前もか?/ブランド・企業論(69)

東レが11月28日、子会社がタイヤなど形状を維持するための補強材の製品検査データを不正に改ざんしていたと発表した。
13社の顧客に対し、2008年4月から16年7月までの8年3カ月間に計149件の品質数値の書き換えが行われていたとのことだ。
東レと言えば、経団連の現会長榊原定征の出身企業であり、日本の化学会社の代表である。
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東京新聞11月30日

 同社の発表によると、書き換えが行われた製品はタイヤ用、自動車のホース・ベルト用、抄紙用のコードと呼ばれる補強材。子会社の東レハイブリッドコードが、タイヤメーカーや自動車部品メーカー、抄紙用フェルトメーカーに製品を納入する際に、顧客との間で取り決めた規格から外れた製品の品質データを規格内の数字に書き換えていたという。現時点では法令違反や安全に問題のある案件は見つかっていないとしている。
 不正は16年7月に行われたコンプライアンス調査の結果で発覚。都内で会見した東レの日覚昭広社長によると、当初は法令違反や安全上の問題はなかったことなどから公表しない方針だったという。しかし、11月3日にインターネット掲示板上での書き込みがあり、一部株主からの問い合わせもあったことから発表に踏み切ったと話した。
東レ:子会社が製品検査データを不正改ざん、8年間で149件

ここしばらく、神戸製鋼、、日産、三菱マテリアルなど日本を代表するメーカーの不正が続いている。
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東京新聞11月29日

東レの日覚社長の言い方には違和感がある。
安全性や社会への影響云々というよりも、ルールに抵触しているかどうかの問題である。
榊原氏の社長・会長在任中の事案であり、不正は承知していなかったというが、責任は免れまい。
天皇退位の日程が決まったが、平成も終わろうとする時期に、日本の製造業が揺らいでいる。
時代の変わり目ということだろうか。

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2017年12月 1日 (金)

森友疑惑(60)高橋洋一氏の的外れ/アベノポリシーの危うさ(323)

「政権に都合の悪いニュースが出ると、さまざまなメディアに「駆け付け擁護」する有識者の一人として知られる」高橋洋一氏が、メディアや野党の森友疑惑解明の動きを批判している。
森友学園問題の本質は国有地売却について近畿財務局の事務チョンボであって、安倍首相や昭恵夫人を云々するのは的外れだというのだ。
本当にそうだろうか?

高橋氏は、問題が発覚して間もない3月2日に次のようにツイートしている。
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3月の見解であるが、11月30日付の『森友問題で追及すべきは総理の意向ではなく「財務省の失策」だ』にも引用しているので、見解は変わっていない。

①は、園児らに軍歌を歌わせ、教育勅語を暗誦させていた塚本幼稚園の教育方針のことだろう。
決して個人的な「趣味」や「好き嫌い」の問題ではなく、まさに社会的な問題である。
こんな軍国主義を刷り込ませることが「社会的にどうでもいい話」ではあるまい。
しかも、その教育方針を「素晴らしい」と絶賛していたのが安倍夫妻であり、新設の小学校の名誉校長に就任していたのが昭恵夫人である。書いたように、が問題の本質だ。

②は、その学園に限って、通常起こり得ないような破格の厚遇がされたのである。
近畿財務局のチョンボといえばチョンボであるが、そのチョンボがどうして発生したのか?
そこを明らかにしていかないと、同じチョンボは繰り返される。
高橋氏は「一過性のチョンボ」だと言いたいようだが、そうではない。
財務省が「ストーリー」を考えた結果なのである。
単なる事務的なミスではないのだ。
「忖度」による「構造的なチョンボ」であることを見なければならないだろう。
⇒2017年11月29日 (水): 森友疑惑(58)値引きのための「ストーリー」/アベノポリシーの危うさ(322)

③は鴻池案件だから安倍案件ではないということらしい。
1人の政治家が係わると他の政治家は手を出さない、という風習を言っているらしい。
しかし、昭恵夫人が直接係わっていたのだから、鴻池案件と限定するのは偏った見方だろう。
⇒2017年11月30日 (木): 森友疑惑(59)財務省はなぜ厚遇したのか?/アベノポリシーの危うさ(322)

高橋氏は会計検査院の時系列表を根拠に次のように言う。

 この中で、2015年(平成27年)11月頃とされる内閣総務官室職員からの照会とされているところに注目したい。
 安倍首相の昭恵夫人付き官僚が定期借地賃貸料の特例などについて財務省に問い合わせのファックスを送ったというのが、「総理の関与」をうかがわせる根拠とされているものだ。
 しかし、異例の措置といわれる、10年以内の売却を約束した定期借地契約の締結や「金額非公表」などは、これより前に行われている。金額非公表の決定がいつ行われたのかはわからないが、遅くとも2015年(平成27年)5月までであろう。
 しかも、「鴻池メモ」によると、森友学園が2013年9月に土地取得に名乗りを上げてから、2015年5月の貸借契約まで2年近くも、賃料の折衝が森友側と近畿財務局の間で行われたことが記録されている。
 ということは、「総理の関与」がなかったことを示している。
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森友問題で追及すべきは総理の意向ではなく「財務省の失策」だ

高橋氏は「関与」の意味を限定的に捉えているようである。
昭恵夫人付き秘書が問い合わせをした以前には、学園側と昭恵夫人が接触がないような書き方である。
実際は、メールや電話で頻繁にやりとりしていたのであるから、昭恵夫人の関与は疑って考える必要がある。
高橋氏は、加計学園問題では当事者の1人であった。
⇒2017年10月16日 (月):親安倍のイデオローグ(3)高橋洋一/アベノポリシーの危うさ(307)
こういうひとが熱心に擁護すると、普通はさらに疑問が大きくなる。
的を外しているのは高橋氏自身であり、「駆け付け擁護」もほどほどにした方が良い。

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2017年11月30日 (木)

森友疑惑(59)財務省はなぜ厚遇したのか?/アベノポリシーの危うさ(322)

財務省が森友学園に対してとった措置は、きわめて異例であった。
立憲民主党の川内博史衆院議員の質問に対し、財務省の太田充理財局長が答弁した。
1.定期借地契約
公共随契すべてが1194件。そのうち売り払い前提の定期借地とする特例処理を行った事例は本件のみ、つまり、1194分の1
2.分割払い
同じ時期の随意契約のうち、分割払いを認めたのも森友学園だけで、その割合は1214分の1
3.金額非公表
平成25年度から28年度までの間、公共随契によって売却した件数は972件で、うち金額非公表にしたものというのは本件のみ
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森友学園“特例”明らかに 「1194分の1」「1214分の1」

これだけでも、この3つの特例が同時に起きる確率は、1/1194×1/1214×1/972=1/1.408×10の9乗
14億4000万分の1である。
つまり日本の人口の10倍以上の中から1人を選ぶより小さな確率である。
推測統計学では、1%とか5%を有意水準に設定するが、遥かに「起こらない」と見なせる確率である。

もちろん「本件のみ」という場合、母数はさらに大きかった可能性がある。
上記の計算は、3つの特例が独立であると考えた場合の確率であり、それが現実に起こらないような確率であるとは、どういう意味か?
極めて稀な「特例」だったことが分かる。

それぞれの特例が独立ではないとしたらどうか?
個別の確率を超えることはないので、その場合でも最大で1200分の1である。
有意として取り扱うべき水準であることに変わりはない。

つまり森友学園について、特別の力が働いたということである。
籠池前理事長風に言えば「神風」が吹いたのである。
なぜ、森友学園という特異な教育をしていた学校に限ってそのような「特例」をしたのか?
⇒2017年2月25日 (土):森友疑惑(5)特異な法人への破格の優遇/アベノポリシーの危うさ(139)

財務省が森友学園の教育方針に賛同したから、などということは考えられないし、あってはならないことだ。
やはり安倍昭恵夫人との親密関係を抜きにしては考えられないのである。
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⇒2017年11月23日 (木):森友疑惑(56)会計検査院報告/アベノポリシーの危うさ(320)

「行政が歪められている」一例である。
財務省からこの答弁を引き出した川内議員はGood Jobであった。
安倍首相夫婦は籠池氏らを「詐欺」と決めつけ、自分たちが被害者の如く振る舞っている。
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どう考えても年貢を納めるべき時である。

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2017年11月29日 (水)

森友疑惑(58)値引きのための「ストーリー」/アベノポリシーの危うさ(322)

財務省とと森友学園の交渉に関する新たな音声データを財務省が認めた。
28日、売却契約前の昨春に録音された国地中のごみについての協議で、国側は「知らなかった事実なので、きっちりとやる必要があるというストーリーをイメージしている」などと発言していた。
「ストーリー」とは何だろう?

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東京新聞11月29日

「ストーリー」とは、値引きを合理化するための根拠作りに他ならないだろう。
地下に埋まっていたゴミを材料にして、森友側の意向に沿えるような説明を考えましょう、と。
いわゆる「談合」以外の何ものでもあるまい。
こういう事実を「行政が歪められた」というのではなかろうか。

日経新聞の社説は以下のように書いている。

(会計検査院)報告書は値引きの根拠となった国有地のごみの推計量について「十分な根拠が確認できず、慎重な検討を欠いていた」と指摘した。
 森友学園をめぐっては首相の昭恵夫人が開設予定の小学校の「名誉校長」に一時就任した。値引きに政治家の関与や官僚の忖度(そんたく)があったか否かが問われたが、報告書は触れなかった。
 8億円の積算根拠となる資料を財務省や国土交通省が廃棄していたからだ。保存期間1年未満の行政文書はいつでも廃棄できるとの説明に国民の納得は得られまい。保管ルールの強化は欠かせない。
 検査院によると、国土交通省大阪航空局がごみの量を過大に推計し、大幅な値引きにつながった可能性がある。政府は「法令に基づき適正な手続きで処分した」と説明してきたが、前提は崩れた。
 野党は昭恵夫人や財務省理財局長としてかかわった佐川宣寿国税庁長官らの国会招致を求めている。与党も率先して協力すべきだ。近畿財務局職員らへの背任容疑での告発を受理した大阪地検特捜部は、徹底して真相を解明してもらいたい。
国有財産の処分に透明性を

「昭恵夫人や財務省理財局長としてかかわった佐川宣寿国税庁長官らの国会招致」は多くの人に共通する思いだろう。
⇒2017年11月23日 (木):森友疑惑(56)会計検査院報告/アベノポリシーの危うさ(320) ⇒2017年11月28日 (火):森友疑惑(57)財務省の「忖度」/アベノポリシーの危うさ(321)

不思議なことだが、安倍政権が窮地に陥ると、北朝鮮がミサイルを発射する。
私は下記のような田中龍作氏のような見方の同調するものではないが、偶然とは思えないほどの暗合である。
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少なくとも、トランプ-安倍の圧力一辺倒が有効ではないことを示しているのではないだろうか。
横田早紀江さんは次のように言っている。

「安倍総理が平壌に行き、金正恩とケンカじゃなく、ちゃんとした話し合いをしてくれたらありがたい」
 あの早紀江さんが安倍首相に注文をつけるのは、よほどのことだ。
 安倍首相の圧力一辺倒は拉致問題の解決を遠ざける――。これまで「拉致の安倍」に全幅の信頼を寄せてきた被害者家族も、言い方は柔らかいが、安倍首相の無策に失望と不信感を強めているのだろう。
横田めぐみさんの母・早紀江さんが“圧力一辺倒”の安倍首相の対北外交に異を唱え波紋

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2017年11月28日 (火)

森友疑惑(57)財務省の「忖度」/アベノポリシーの危うさ(321)

衆院予算委員会は27日、安倍晋三首相ら全閣僚が出席し基本的質疑を行った。
その中で、学校法人「森友学園」への国有地売却を巡り、財務省の太田充理財局長は、財務省と森友学園との交渉に関する音声データを事実上認めた。
これは明らかに従前の答弁とは異なっている。
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東京新聞11月28日

音声データの内容はどうであったか?
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東京新聞11月28日

財務省がこのような親切な対応をしてくれる官庁だとは寡聞にして知らなかった。
これを価格交渉と言わずして何と言うのだろうか?
やはり従前の答弁をした佐川宣寿前理財局長(現国税庁長官)および交渉の橋渡しをした安倍昭恵夫人付きの秘書官らの国会招致は不可欠であろう。
森友疑惑の幕を引いてはならない。

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2017年11月27日 (月)

伊都国の位置論(4)/やまとの謎(121)

汗牛充棟のごとき邪馬台国関連本の中で、ちょっと興味を喚起されたのが、安田哲也『解読・邪馬台国の暗号-記紀に封印された倭国王朝の光と影』講談社出版サービスセンター(2007年2月)である。
奥付の著者略歴欄を見ると、昭和20年生まれで、最高検検事、鹿児島地検検事正を経て、公証人とある。
実生活でも成功した人と言えるだろう。

安田氏は著書の狙いを「魏志倭人伝」の解釈によって
1.邪馬台国が南九州にあったこと
2.そに『記紀』の暗号解読による裏づけ
と説明している。
オーソドックスな読解をして行くと、南九州説になるとも言えよう。
⇒2012年11月20日 (火):「邪馬台国=西都」説/オーソドックスなアプローチ
私が読んだのは遅かったが、安田氏の著書は中田氏に先行しており、かつ両者の論旨は独立である。

安田氏は、通説の「伊都国=糸島半島」説を、国の所在地を地名や遺跡・遺物で確定しようという発想に問題があるとする。
古代の王都には遷都がつきものであるが、地名や遺跡・遺物を理由として確定はできない。
しかも、通説では年代観が邪馬台国の時代と合わない。

「魏志倭人伝」には、伊都国唐津付近に比定される末盧国から「東南陸行五百里」である。
かつ「南水行」が可能な場所である。

のちの肥前国松浦郡 (佐賀県唐津市付近) にあったとみられる。四千余戸があり,漁業に従事したという。『古事記』には末羅県 (あがた) ,『日本書紀』『肥前国風土記』『万葉集』には松浦県とみえ,古代北九州の要地であった。
末盧国:ブリタニカ国際大百科事典

虚心坦懐に考えれば、有明海沿岸であることは自明である。
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また「世有王皆統属女王国郡使往来常所駐」を、伊都国の説明と読む通説は間違いだとする。
伊都国のことは、その前の「千余戸有」で終わって、「世有王」以下は、伊都国だけでなく既出の四ヵ国に共通する事項と読む。
そして「世有王」の世は世襲の意味であるとする。

問題の「水行十日陸行一月」は、「水行十日及び陸行一月」と解すべきであるとする。
⇒2012年12月 7日 (金):魏使の行程のアポリアとしての「水行十日陸行一月」/邪馬台国所在地論

安田氏の読解による邪馬台国への行程は以下のようである。
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通説に比べると支持する人は(現時点では)少ないが、安田、中田、幸田氏らの、伊都国有明湾沿岸、邪馬台国宮崎説は合理的であるように思う。

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