2017年8月22日 (火)

加計疑惑(48)地方都市の負担/アベノポリシーの危うさ(280)

安倍政権は「地方創生」の旗を高く掲げている(はずである)。
しかし「言うは易く行うは難し」の典型ではないかと思う。
地方都市は、どこへ行っても中心市街地がシャッター街と化している。
成功例は極めて限られたものだろう。

8月3日の内閣改造によって新たに梶山弘志氏が任命されたがどうであろうか。
前任の山本幸三氏は、ピントのずれた発言を繰り返していた。
⇒2017年4月18日 (火):不適格大臣列伝(17)山本幸三地方創生担当相/アベノポリシーの危うさ(184)
⇒2017年4月22日 (土):アホな内閣(3)山本幸三地方創生担当相/アベノポリシーの危うさ(188)
⇒2017年8月14日 (月):改造内閣(3)閣僚の資質をどう考えるか/アベノポリシーの危うさ(277)

地方都市の活性化は容易ではない。
そんな地方都市にとって、大学は「魔法の杖」のように見えるだろう。
若者の代表である大学生が、塊で現れるのである。
しかし地元の大いなる期待を担って作られた銚子市の千葉科学大学は、市財政の大きな負担になって、破綻を早める結果になりつつある。
⇒2017年8月20日 (日):加計疑惑(46)先行事例としての千葉科学大/アベノポリシーの危うさ(278)

逆に加計学園の方は、味をしめたというか、よく似た構図で今治市に岡山理科大学獣医学部を構想している。
来年3月開学予定であるが、客観的にみて雲行きが怪しくなっていることは事実であろう。
⇒2017年8月13日 (日):加計疑惑(45)特区WGのいかがわしさ(2)/アベノポリシーわの危うさ(276)
⇒2017年8月21日 (月):加計疑惑(47)獣医学部の設計図面/アベノポリシーの危うさ(279)

岡山理科大獣医学部に関し、今治市は用地(16・8ヘクタール)の無償譲渡と校舎建設費192億円の半額にあたる96億円(県との合計限度額、うち市の上限64億円)の債務負担行為をすることになっている。
他所事ながら大丈夫だろうかと思わざるを得ない。

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 市の説明によると、獣医学部は「岡山理科大今治キャンパス」として、加計学園が今月中に文部科学省に設置を申請する。6年制の「獣医学科」(定員160人)と、4年制の「獣医保健看護学科」(同60人)を置く。
 民間シンクタンクは、校舎建設などによる経済波及効果を240億円、学生約1200人がそろった時点での学生と教職員の年間支出を約20億円と試算している。
 今治新都市(いこいの丘)にある用地は市が約36億7400万円で市土地開発公社などから買い戻し、3日付で加計学園に無償譲渡した。
今治市 大学用地を無償譲渡 加計学園へ 岡山理大獣医学部開設

経済波及効果など机上の計算でいくらでも膨らますことができるだろう。
内訳と根拠を知りたいところだ。
以下のような指摘もあることを載せておく。
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今治市は土地を購入して加計学園に無償譲渡?

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2017年8月21日 (月)

加計疑惑(47)獣医学部の設計図面/アベノポリシーの危うさ(279)

加計学園獣医学部の設計関連文書について報じられている。

<(仮称)岡山理科大学 獣医学部 今治キャンパス 新築工事及び周辺工事 獣医学部棟>というタイトルの図面の作成者は、加計学園関連グループ会社のSID創研と大建設計。平成29年3月という日付が記されている。
 開校予定地、愛媛県今治市は、加計学園に対し、最大96億円(愛媛県負担分も含む)の補助金拠出をたった1日の審議で決めた(3月31日)。その巨額補助金の積算根拠の一つが、この文書だったわけだが、これまでその存在は一切、表に出てこなかった。今治市で加計学園問題を追及している「今治加計獣医学部問題を考える会」の黒川敦彦共同代表はこう話す。
「これまで補助金積算の根拠となるものを今治市は情報公開でも明かさず、拒んできた。それがはっきりすれば、市議会のデタラメな議決、水面下でくすぶっていた加計学園の不透明な補助金請求が白日の下にさらされます」
 国家戦略特区を利用した加計学園の獣医学部新設は8月末にも認可される見込みだったが、文部科学省の大学設置・学校法人審議会は8月9日、結論を出せず、保留する方針を固めた。
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安倍政権さらに窮地 加計学園の獣医学部新設「設計関連文書」全文を入手

今治市は、なぜか加計学園関連の情報公開を中止してしまっている。
⇒2017年7月17日 (月):加計疑惑(35)今治市の情報不開示の不可解/アベノポリシーの危うさ(256)

これから流失した図面に関してさまざまな観点から検討されていくことだろう。
特に関心がもたれるのは、次の点だろう。
1.設備ののグレード

 国家戦略特区で加計学園の獣医学部の新設がOKとなったのは、最先端のライフサイエンス研究ができる施設、設備を設置することが条件だった。
 加計学園は、これまでの獣医学部にはない、最先端のライフサイエンス研究のために「バイオセーフティーレベル3」の施設をつくるとしている。これは、細菌やウイルス、微生物などを厳重な管理下で研究するものだ。専門家によれば、
「鳥インフルエンザ、HIVウイルスなどが研究対象です。最高のレベル4だとエボラ出血熱のウイルスなどになります。レベル3や4は非常に高度でかつ厳重な管理が必要で、それに対応できる施設でなければいけません」
同上

果たして今治市の獣医学部は「バイオセーフティーレベル3」に対応できているのか?
京産大の設計図面に比して、優位性があるのか?
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2.建築費
森友学園の籠池前理事長夫妻が逮捕されたのは、「公金(補助金)不当取得(詐欺)」容疑である。
⇒2017年8月 4日 (金):森友疑惑(55)籠池前理事長夫妻逮捕の報じられ方/アベノポリシーの危うさ(270)
⇒2017年7月31日 (月):森友疑惑(53)籠池前理事長夫妻逮捕より先に・・・/アベノポリシーの危うさ(267)

当然、建築に関しては森友学園とは比較にならない額の多額の公金が投じられている。
建築費に関しても徹底した調査が望まれる。
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安倍首相が、加計学園認可を白紙に戻すことを考慮中という。
その根拠を言わなければ、何の意味もないだろう。

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2017年8月20日 (日)

加計疑惑(46)先行事例としての千葉科学大/アベノポリシーの危うさ(278)

加計学園獣医学部の先行事例として、銚子市の千葉科学大学がある。
私はかつて千葉県民だったが、寡聞にして千葉科学大の存在を知らなかった。
ググってみると、以下のような大学だった。
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みんなの大学情報

大学の評価が偏差値で決まるとは全く思わないが、上記サイトでどのような大学と肩を並べているのかを見てみた。
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今治市で加計学園獣医学部問題を追及している黒川敦彦さんのツイートである。
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千葉科学大学開設の経緯は以下のようである。

 千葉科学大学は野平匡邦・銚子市長(当時)の誘致で2004年、この地に開校した。野平氏は2002年、大学誘致を選挙公約に掲げて初当選したのである。
 開校前年の2003年、市民が1万7,635筆の「大学誘致の是非を問う住民投票の請願」を提出したが、市議会が否決している。
 加計学園の誘致は野平氏の経歴と無縁ではない ―
 1997年(平成9年)から1999年(平成11年)まで岡山県副知事。(岡山県は加計孝太郎氏のお膝元)
 2002年(平成14年)から現在まで加計学園・岡山理科大学の客員教授。(以上、野平匡邦氏のHPより)
 野平氏が「カケさん」と理事長を呼ぶ口調には、親密さが伺えた。20年来の付き合いだけはある。
 野平氏に誘致の経緯を振り返ってもらった―
 誘致の条件として加計学園側は完全整備済みの土地15haを無償譲渡するよう求め、さらに上物(校舎)建設費などの補助金95億円を要求してきた。
 最終的には77億5千万円の補助金を銚子市が加計学園に出すことで落ち着いた。土地は無償貸与となった。(本部キャンパスは売買)
 ただし、「(土地の)所有権の譲渡については協議する」との一筆が入った。底地(建物の下の土地)を持たなければ、学園側は銀行から低利融資が得られなかったからだ。
【銚子発・アベ友疑獄】 加計学園のスキーム教えます 元財政当局者「第2の夕張にしてはならない」

2014年5月、加計学園・千葉科学大学の開校10周年式典に安倍首相は来賓として出席し、加計孝太郎理事長を「腹心の友」と言ったのだ。
今治市の獣医学部が銚子市の千葉科学大に比べ、段違いに優秀な学生を集められるとは思えない。
獣医師の偏差値について、以下のようなツイートがあった。
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疲弊化が進む地方都市にとって、若者が集まる大学誘致は魅力的に思えるだろう。
しかし、よく吟味しないと、破滅の道を加速することになる。

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2017年8月19日 (土)

表現の自由と共謀罪/日本の針路(326)

私が自主規制の嫌な感じを覚えたのは、さいたま市の公民館が、九条を詠んだ俳句の掲載を拒否した事件であった。
その時連想したのが「新興俳句事件」であたが、自主規制が昂進して他人に対する圧力に転化し、圧力が強制に転化していくことを危惧した。
⇒2014年7月 5日 (土):さいたま公民館の俳句掲載拒否と新興俳句事件/日本の針路(4)

その危惧は、委員会採決を省略するというおよそ「丁寧」の対極のような形で成立した共謀罪(組織的犯罪防止法改悪)であった。
⇒2017年6月15日 (木):共謀罪強行成立という極めて大きな汚点/アベノポリシーの危うさ(233)

今日の「平和の俳句」に次の句が選ばれた。
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「三鬼」「不死男」は「新興俳句事件」の犠牲者である。
⇒2007年10月26日 (金):新興俳句弾圧事件…①全体像
⇒2007年11月13日 (火):『群蝶の空』
⇒2007年10月27日 (土):新興俳句弾圧事件…②秋元不死男の「手記」

新興俳句弾圧事件の根拠としては、もちろん1925(大正14」)年に公布された「治安維持法」があるが、1938(昭和13)年4月1日に公布された「国家総動員法」によって増強された。
⇒2007年10月28日 (日):新興俳句弾圧事件…③国家総動員体制

内閣の基本方針の1つに掲げられている「一億総活躍」社会と「国家総動員」体制との類似性を指摘する人もいる。
今日の「平和の俳句」の作者・汲田隆彦さんは、風刺漫画家である。
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東京新聞8月19日

粘り強く共謀罪の廃止を求め、表現の自由が担保されている社会としなければならない。

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2017年8月18日 (金)

改造内閣(4)内閣の基本方針/アベノポリシーの危うさ(278)

改造内閣の基本方針が、8月3日の閣議で決定した。

政府は、改造内閣発足後、初めての閣議を開き、「人づくり革命」や「働き方改革」の実現を推進するなどとした基本方針を決定した。
菅官房長官は、会見で「総理からは、この5年前の政権交代の初心に立って、全員その原点を忘れないで取り組んでいきたい、そのような趣旨の発言がありました」と述べた。
閣議では、東日本大震災からの復興を加速させるほか、安倍首相が新たなに掲げた「人づくり革命」を断行し、人生100年時代を見据えた社会の在り方を大胆に構想するなどとした基本方針を決定した。
また、「一億総活躍」社会を実現するため、長時間労働の是正や、同一労働同一賃金の実現など、労働制度の大胆な改革を進めるとしている。
「人づくり革命」方針を閣議決定

首相が新たに掲げた「人づくり革命」をどう評価するか?
何ともケッタイな目標を掲げたものである。
「革命」とは、一般に「体制の転覆」のことである。

「革」はあらためる、「命」は天命の意
①支配者階級が握っていた国家権力を被支配者階級が奪い取って、政治や経済の社会構造を根本的に覆す変革。「ロシア-」「無血-」「暴力-」
②既成の制度や価値を根本的に変革すること。「産業-」「文化-」
③〔中国で、天子は天命を受けて天下を治めるとされていたところから〕王朝があらたまること。
大辞林第3版

どの意味で使ったのかは不明であるが、政府が使うのにふさわしい言葉だとは思えない。
それはともかく、急進的な変化の意味だとしよう。
それにしても「人づくり」は息の長い事業であって、短兵急に進めるべきではないだろう。
テレビ等のCMでも使われいる『管子』の有名な言葉がある。

1年先のことを考えるなら種を播け。
10年先のことを考えるなら木を植えよ。
100年先のことを考えるなら人を育てよ。

「人づくり革命」についてはまた書く機会があるだろう。
「基本方針」に関して斎藤美奈子氏の言葉を引用しておく。
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東京新聞8月16日

NHKスペシャルのが『戦慄の記録 インパール』(8月15日放映)に見るように、客観的情勢を無視した精神論が、いかに悲惨な結果を招いたか。
歴史認識を欠く首相には、精神論しかないのだろう。
⇒2015年8月26日 (水):『日本のいちばん長い日』と現在・続/日本の針路(220)

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2017年8月17日 (木)

切れ者とキレる人/「同じ」と「違う」(105)

安倍首相が都議選の最終日に応援演説に立ったが、その時の言葉が惨敗の大きな要因だったと言われている。
室井佑月さんが「週刊朝日」7月21日号に書いている。
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まあ、これが一般的な見方だろう。
安倍首相が「帰れ!」コールにキレて、「こんな人たち・・・」と声を張り上げてしまった。
つまり、自民党惨敗の大きな要因の1つが「安倍不信」で、それが内閣支持率の急激な低下である。
⇒2017年7月13日 (木):加計疑惑(32)支持率の下落が止まらない安倍政権/アベノポリシーの危うさ(253)

それを顧みることなく、内閣改造で支持率アップが図れると考えるのは甘いと言わざるを得ない。
ところで「キレる」とはどういうことか?
Wikipediaでは次のように説明されている。

キレる(切れる)とは、主に対人関係において昂ぶった怒りの感情が、我慢の限界を超えて一気に露わになる様子を表す、日本の俗語。
同義の言葉には「激昂」「激高」などがある。

「秋葉原通り魔事件」などを連想するが、この事件はかなり計画的なようにも思えるので、単純に「キレた」からとは言えないかも知れない。
⇒2008年6月11日 (水):秋葉原通り魔と心の闇
⇒2008年6月22日 (日):通り魔をヒーロー視する人たち

森友・加計問題がこれだけ大きな問題になっているのも、安倍首相の「私や妻が関係していたということになれば、首相も国会議員も辞める」という言葉が大きいであろう。
⇒2017年2月22日 (水):森友疑惑(2)国有地格安売却/アベノポリシーの危うさ(136)

しかし、「関係している」ことが明白になっても、一向に辞めようと言い出す気配はない。
有言不実行である。
24、25日の閉会中審査では、「李下に冠を正さず」と丁寧な説明ではないが低姿勢に徹しようとしていた。
⇒7年3月14日 (火):森友疑惑(21)加計学園の李下の冠/アベノポリシーの危うさ(156)

そもそも、「丁寧な説明」を考えるならば、なぜ加計孝太郎氏を招致しないのか?
⇒2017年7月27日 (木):加計疑惑(38)加計孝太郎氏はなぜ表に出ないのか/アベノポリシーの危うさ(264)

閉会中審査では、前川前事務次官と直接対立する形になった和泉洋人首相補佐官が、首相の代わりに(?)がキレ気味だった。
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日刊ゲンダイ7月25日

ところで「キレる」という言葉は、シャープな頭の働きにも使う。
「キレる人」と切れ者」はどう違うのであろうか?

概念工作家の村山昇氏は、『「キレ」の思考 「コク」の思考』東洋経済新報社(1211)において、次のように説明している。

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「キレ」の思考は、C(具象)×L(論理)×O(客観)領域を運動の範囲とする思考であり、「コク」の思考は、A(抽象)×I(イメージ)×S(主観)の領域を運動の範囲とする思考である。
⇒2013年1月17日 (木):「キレ」の思考と「コク」の思考/知的生産の方法(28)

つまり、「キレ」の思考は、分析的思考、クリティカル・シンギングであろう。
対して「キレる」は、思考する余裕を失った状態を指すと言える。
表面的には似ているようで、対蹠的な内容である。

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2017年8月16日 (水)

延戦による被害増大責任/永続敗戦の構造(11)

1945年8月14日から15日にかけて、全国各地で空襲を受け、多数の犠牲者が出た。
日本の戦争指導者が「国体護持」に拘り、ポツダム宣言の受諾が遅れた。
『日本のいちばん長い日』に描かれているように、事実として「敗戦受容派」と「徹底抗戦派」の間で、緊迫した状況があった。
⇒2015年8月25日 (火):『日本のいちばん長い日』と現在/日本の針路(219)

映画で印象的だったのが、陸軍が責任追及を逃れようと関連書類を延々と焼却する作業を行った姿だった。
「モリ・カケ」はPKO日報に見るように、公文書を自分たちの都合に合わせるのは、今も変わっていない。
戦災の記録も市民によって復元する試みが続けられている。

 米軍資料から空襲の実態を調べる市民団体「空襲・戦災を記録する会全国連絡会議」によると、14日は米軍機約1000機が出撃した。日本は45年8月10日、降伏を求めるポツダム宣言を条件付きで受諾する方針を連合国側に伝え、米軍は空襲を一部停止した。しかし、受諾条件を巡って日本政府が揺れていると判断した米軍は14日の空襲を実行した。
 米軍の作戦任務報告書では、14日は光海軍工廠(こうしょう)(山口)など6地点が主な空襲目標とされた。京都・舞鶴の港湾などに機雷を敷設し、広島や長崎に原爆を投下した部隊は長崎原爆と同形で通常爆薬の模擬原爆を愛知に落とした。神奈川・小田原では、15日未明の空襲で12人が死亡。米軍機が帰還途中に爆弾を投下したとみられる。Photo
終戦直前 空襲10カ所 米機1000機、犠牲2300人

北朝鮮のミサイル発射をめぐって緊迫した事態となっている。
8月10日の衆議院安全保障委員会で、小野寺五典防衛相は、米軍基地のあるグアムが攻撃された場合、集団的自衛権を行使できる「存立危機事態」にあたる可能性があると答弁した。
元経産官僚の古賀茂明氏は次のように述べている。

トランプ政権は「アメリカ・ファースト」を掲げ、これまでの常識を覆すような言動を続けている。トランプ政権誕生が決まった昨年末の時点で、日本人は、立ち止まって冷静に考え直してみるべきだった。しかし、安倍政権は、何も考えずに、従来の日米関係の延長線上で行動している。そして、今や、トランプ政権とともに戦争を始めるかもしれないというのっぴきならないところに追い込まれているのだ。
古賀茂明「グアムへの北朝鮮ミサイル迎撃すれば、戦争状態  日米安保に殺される日本」

「もう一度冷静に日米関係を根本から考え直す最後のチャンスだ」とする古賀氏の意見に耳を傾けたい。

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2017年8月15日 (火)

再び戦争体制に向かう「母國」/永続敗戦の構造(10)

今日の日経新聞朝刊のコラム「春秋」は次のように書いている。

終戦の日と月遅れのお盆が重なるこの時期、列島は人々の鎮魂の祈りに満たされる。無謀で悲惨だった先の戦争を振り返り、犠牲者を静かに追悼する大切なひとときだが、今年は何か心がざわつく。トランプ米大統領と北朝鮮の言葉の応酬が激しさを増しているせいだ。

全面的に同感であるが、今日を「終戦の日」と言うべきか、「敗戦の日」と言うべきか。
私は、「終戦の日」と呼びならわしてきたことが、戦争責任を曖昧化してしまった一つの要因ではないかと思う。

戦争責任とは何か?
いろいろな局面での責任が考えられる。
もちろん、開戦の責任は大きい。
そして、戦争を継続して、犠牲を増やした責任も同様であろう。

NHKスペシャルは、昨日(8月14日)が『知らぜらる地上戦』、今日が『戦慄の記録 インパール』だった。
8月15日、天皇の詔勅がラジオで放送されたが、降伏文書に署名したのは9月2日だった。
『知らぜらる地上戦』は、ソ連の北海道侵攻を防ぐため樺太死守が命じられ、樺太で戦闘せざるを得なかった人たちの記録である。
⇒2007年8月10日 (金):ソ連の対日参戦

『戦慄の記録 インパール』は、無謀なインパール攻略戦の記録である。
インパール攻略戦の作戦計画は、結局誰も負わず、犠牲は現場の戦闘員である。
無責任体質は、安倍政権とそっくりのようにも思える。
樺太や南方のセンチだけでなく、旧満州からの引き揚げ者も大変な苦難をしたことは良く知られている。
東京(中日)新聞が掲載している「平成の俳句」に英文学者の小田島雄志さんの句が選ばれた。
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北朝鮮のミサイルがグァムを狙い、日本の上空を通過するという予告で、あたかも臨戦のような雰囲気である。

北朝鮮が、グアム島周辺の海上を狙ってミサイルを発射する計画を検討中と発表した。ミサイルが発射された場合に備えて、米国も迎撃を検討している可能性が大きい。だが専門家は、米軍が北朝鮮のミサイルを撃墜できる保証はないと指摘している
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グアムを狙う北朝鮮ミサイル、米国は撃墜できるか

政府は迎撃準備をしている。
72年を経て、戦後生まれは90%を超えたという。
「戦争を知らない世代」が再び戦争を繰り返すことになるのだろうか?

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2017年8月14日 (月)

改造内閣(3)閣僚の資質をどう考えるか/アベノポリシーの危うさ(277)

改造前の内閣では「閣僚の資質」が問われ続けた。
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東京新聞8月3日

果たして新内閣では、資質の向上が図れたであろうか?
残念ながら、骨格を維持している以上、不可能である。

 木の幹が腐っているのに、先端の細い枝だけ接ぎ木して立派に見せようとしているようなもので、こんな小手先の内閣改造には何の意味もありません。首相の反省の弁も口先だけで、一時的に殊勝な態度を見せれば国民をダマせると甘く考えているのがミエミエです。本当に反省していれば、内閣改造で延命を図るのではなく、行政を混乱させた責任を取って退陣しているはずです」(政治評論家・本澤二郎氏)
・・・・・・
 安倍政権の破廉恥体質については、2日に共同通信のインタビューに応じた福田元首相が痛烈に批判している。森友学園への国有地払い下げや、加計学園の獣医学部新設を踏まえ、安倍政権下で「政と官」の関係がおかしくなっていることを「国家の破滅」という厳しい言葉を使って断罪したのだ。
国家破滅内閣に名を連ねた卑しい権力亡者の閣僚たち<上>

奇しくも「週刊文春」と「週刊新潮」の2誌が8月17・24日号で、「身体検査」と称する査定を載せている。
夏休みの予定記事であろうが、問題含みの人も結構いそうである。
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「週刊新潮」

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「週刊文春」

美貌的に前内閣の関連する記事を拾っておこう。

・鶴保庸介
⇒2016年11月13日 (日):不適格大臣列伝・鶴保庸介沖縄北方相/アベノポリシーの危うさ(104)

・山本有二
⇒2016年11月20日 (日):不適格大臣列伝(2)・山本有二農林水産相/アベノポリシーの危うさ(106)

・稲田朋美
⇒2016年11月21日 (月):不適格大臣列伝(3)・稲田朋美防衛相/アベノポリシーの危うさ(107)
⇒2016年12月 4日 (日):不適格大臣列伝(4)・稲田朋美防衛相-2/アベノポリシーの危うさ(111)
⇒2017年1月 5日 (木):不適格大臣列伝(6)・稲田朋美防衛相-3/アベノポリシーの危うさ(120)
⇒2017年2月 8日 (水):不適格大臣列伝(11)稲田朋美防衛相(4)/アベノポリシーの危うさ(130)
⇒2017年2月10日 (金):不適格大臣列伝(13)稲田朋美防衛相(5)/アベノポリシーの危うさ(132)
⇒2017年2月19日 (日):不適格大臣列伝(15)稲田朋美防衛相(6)/アベノポリシーの危うさ(134)
⇒2017年7月24日 (月):不適格大臣列伝(18)稲田朋美防衛相(7)/アベノポリシーの危うさ(262)
⇒2017年7月28日 (金):不適格大臣列伝(19)稲田朋美防衛相(8)/アベノポリシーの危うさ(264)
⇒2017年7月30日 (日):不適格大臣列伝(20)稲田辞職は問題解決ではない/アベノポリシーの危うさ(266)

・石原伸晃
⇒2016年12月11日 (日):不適格大臣列伝(5)・石原伸晃TPP担当相/アベノポリシーの危うさ(112)
⇒2017年2月 7日 (火):不適格大臣列伝(10)石原伸晃特命担当相(2)/アベノポリシーの危うさ(129)

・高木毅
⇒2017年1月17日 (火):不適格大臣列伝(7)高木毅前復興相/アベノポリシーの危うさ(123

・世耕弘成
⇒2017年1月29日 (日):不適格大臣列・伝(8)世耕弘成経済産業相/アベノポリシーの危うさ(126)

・金田勝年
⇒2017年2月 2日 (木):不適格大臣列伝(9)金田勝年法務相/アベノポリシーの危うさ(127)
⇒2017年2月 9日 (木):不適格大臣列伝(12)金田勝年法務相(2)/アベノポリシーの危うさ(131)
⇒2017年4月23日 (日):アホな内閣(4)金田勝年法務相と共謀罪審議/アベノポリシーの危うさ(189)

・歴代文科相
⇒2017年2月13日 (月):不適格大臣列伝(14)歴代文科相/アベノポリシーの危うさ(133)

・今村雅弘
⇒2017年4月 6日 (木):不適格大臣列伝(16)今村雅弘復興相/アベノポリシーの危うさ(178)
⇒2017年4月25日 (火):アホな内閣(6)今村雅弘復興相/アベノポリシーの危うさ(191)

・山本幸三
⇒2017年4月18日 (火):不適格大臣列伝(17)山本幸三地方創生担当相/アベノポリシーの危うさ(184)
⇒2017年4月22日 (土):アホな内閣(3)山本幸三地方創生担当相/アベノポリシーの危うさ(188)

・中川俊直
⇒2017年4月20日 (木):アホな内閣(1)中川俊直経済産業政務官/アベノポリシーの危うさ(186)
⇒2017年4月21日 (金):アホな内閣(2)中川俊直経済産業政務官・続/アベノポリシーの危うさ(187)

・大塚拓
・⇒2017年4月24日 (月):アホな内閣(5)大塚拓財務副大臣/アベノポリシーの危うさ(190)

安倍首相は、任命責任は私にあると言っているが、具体的に責任を説明することはなかった。
⇒2017年7月 1日 (土):大臣辞任(or更迭)の二重基準/アベノポリシーの危うさ(247)

上記の中には、一度に失態・失言で辞任(もしくは更迭)の人もいるし、稲田朋美氏のように何度となく繰り返した人もいる。
いずれにしろ、任命責任はあるが、失態・失言が繰り返し起きるというのは、「延命責任」があると考えなければならない。
安倍首相が本当に支持率を回復したいのであれば、率先して加計孝太郎氏や安倍昭恵夫人の招致を行うべきだが、口先は別として、そんなことはできないだろうなあ。

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2017年8月13日 (日)

加計疑惑(45)特区WGのいかがわしさ(2)/アベノポリシーわの危うさ(276)

また「加計ありき」を裏付ける新事実が発覚した。
国家戦略特区の規制改革メニューに獣医学部新設が加わる直前、2015年6月の特区ワーキンググループ(WG)のヒアリングに、愛媛県と今治市職員とともに加計学園の幹部が同席していた。
にもかからず、今年3月公開のWG議事要旨には加計幹部出席の記載が一切なかった。

「国家戦略特区の正体」の著者で立教大教授の郭洋春氏(経済学)はこう言う。
「ヒアリングの出席者は会議の性格を位置づける非常に重要なポイント。問題の場に加計関係者が出席した事実を伏せていたのは、“加計ありき”の獣医学部新設をヒタ隠しにするためだったのではないのか。そう類推するのが極めて自然でしょう」
 議事要旨の公開は加計疑惑が報じられた直後。冒頭で内閣府の藤原豊審議官(現・経産省官房審議官)が「資料その他、議事内容は公開の扱いでよろしゅうございますでしょうか」とわざわざ断りを入れる発言を載せている。この一言も隠蔽の演出だとしたら、議事黒塗りの“のり弁”より悪質だ。行政文書の信憑性そのものもグラつき始めている。
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また隠蔽発覚 特区WGの議事要旨に加計幹部出席の記載なし

しかも伏せられた加計学園側の発言に、学園幹部が「愛媛県今治市には当学園の岡山理科大獣医学部を設置したい」との意向をWG委員に伝えるやりとりがあった。

 首相は国会で、学園の計画を今年一月二十日に初めて知ったと説明しているが、一五年六月の特区提案段階で事実上、今治市と学園が一体で提案していたことが判明。首相の説明責任が求められる。
 内閣府は本紙の取材に、「説明補助者は参加者と扱っておらず、公式な発言と認めていない」と回答し、議事要旨にない加計側の発言を明らかにしなかった。また、ヒアリング内容を首相に報告したかどうかは明確にしなかった。
 公開されている一五年六月五日のWGの議事要旨では、座長の八田達夫・大阪大名誉教授が「獣医学部新設は大学そのものの新設ですか」と質問。愛媛県の担当者が「大学の新設と学部の新設も考えている」と答えている。
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加計側提案 記載せず 特区WG議事要旨「獣医学部設置を」

「すべてオープン」「一点の曇りもない」の実相はこういうことなのだ。
何とか「総理の意向」を隠蔽しようという意図が見え透いている。

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2017年8月12日 (土)

加計疑惑(44)加計獣医学部は開設できるのか/アベノポリシーわの危うさ(275)

疑惑に塗れた今治市の加計学園獣医学部は、計画通り開設できるであろうか?
文部科学省の蝦名喜之・高等教育企画課長は、大学設置・学校法人審議会が学園の認可申請への判断を保留する方針を固めたことについて「審査中なので答えを差し控える」としているが、判断保留の場合も審査は継続される。
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東京新聞8月11日

過去10年で保留となったケースは110件で、うち89件が最終的に認可されている。
19件は学校側が申請を取り下げ、2件は不認可になった。
加計学園の獣医学部新設に関しては、学園内部からも疑問の声が上がっている。

08年から加計学園系列の千葉科学大で客員教授を務める加藤元氏(獣医学)は、「獣医学部の新設なんてとんでもない話。むしろ今、必要なのは大学の数を減らすことですよ」と指摘する。どういうことなのか。
「現在、獣医学を学べる大学は日本に16校ありますが、世界の最先端をいく米国と比べると、恐ろしいほどレベルが低い。底上げを図るには、今の16校から多くても4校にまで減らし、1校あたりの教授陣のマンパワーと予算を4倍に増やし、獣医師の専門性を高めるカリキュラムを組む必要があります」
・・・・・・
 そもそも加計問題は日本の獣医師不足に端を発したものだったが、加藤氏によると、この前提がおかしいという。
「恒常的に不足しているのは所得が低い地方公務員の獣医師であって、都心の動物病院はいつも飽和状態です。大学を増やし、仮に獣医師を倍増させたところで、地方の待遇改善を図らない限り解決にはつながりません。ところが、安倍政権や加計学園は獣医学部を増やせばいいと考えているようです。私に言わせれば、極めて安易な発想だし、自分たちのエゴばかりで本末転倒です」
加計学園関係者が一刀両断「獣医学部新設など言語道断」

設置審の判断がどうなるかは予断を許さないが、大きな問題が、学園が提示した生命科学分野での実習計画などであるとみられる。
国家戦略特区の基準として、「石破四条件」と言われるものがある。
⇒2017年7月10日 (月):加計疑惑(30)今治獣医学部はライフサイエンスの拠点になる得るか/アベノポリシーの危うさ(251)

特区で選定されるに相応しいレベルであるための体制の準備は、本質的に容易ではないはずなのだ。
京産大が申請を取り下げたのは、30年4月というスケジュールを前提にすると準備の時間が足りないからである。
⇒2017年7月29日 (土):加計疑惑(39)加計と京産大の扱いの差は?/アベノポリシーの危うさ(265)
安倍首相のように、「意欲があれば何校でも」というわけにはいかないのである。
⇒2017年7月16日 (日):加計疑惑(34)大学設置基準は意欲の問題か?/アベノポリシーの危うさ(255)

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2017年8月11日 (金)

加計疑惑(43)官邸での面談には加計幹部も同席/アベノポリシーわの危うさ(274)

今治市の公式文書に残っている官邸への訪問に際し、面談相手と良く呈されている柳瀬経産省審議官は、不自然なまでに「記憶にございません」を繰り返した。
⇒2017年7月29日 (土):加計疑惑(39)加計と京産大の扱いの差は?/アベノポリシーの危うさ(265)

そんな不自然な言い逃れも、わずかな時間稼ぎにしかならないのだ。
「週刊朝日」8月・25日号に、今治市職員だけでなく、加計学園の幹部も同行していた事実が載っている。
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記憶していると答えると、必然的にこの事実が明らかになり、「加計ありき」が明白になってしまうのだ。
この面会は、愛媛県と今治市が獣医学部新設を国家戦略特区に正式に提案する2カ月前にあたるが、その時期に、県、市だけでなく事業主体の加計学園が首相に極めて近い立場の首相秘書官と会っていたのである。
安倍晋三首相の「加計学園の獣医学部計画を知ったのは今年1月20日だった」という国会答弁の真偽にも係わって来る。

加計・森友疑惑では、政府関係者は驚くべき発言をしてきた。
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偽物かな#!、安倍政権が隠蔽した加計学園幹部、首相秘書官、今治市の”謀議” 官邸で特区申請前に

それというのも、安倍首相が「係っていれば首相を辞める」などと大見えを切ったからである。
⇒2017年2月22日 (水):森友疑惑(2)国有地格安売却/アベノポリシーの危うさ(136)
しかし、ウソはどこかで破綻するのである。

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2017年8月10日 (木)

改造内閣(2)辞めれば当事者ではないのか?/アベノポリシーの危うさ(273)

陸自日報隠蔽問題の主役・稲田朋美元防衛相は、野党の閉会中審査への出席要求に応えなかった。
野党は稲田元防衛相の参考人招致が与党の反対によって実現しなかったことに関し、「安倍政権による事実上の説明拒否だ」と一斉に批判を強めた。
さらなる閉会中審査開催に加え、臨時国会の早期召集を引き続き要求し、追及を強める構えだ。

問題の構図は以下のようである。
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東京新聞8月10日

閉会中審査の焦点は、陸自内に残っていた日報を非公表とした経緯に、稲田元防衛相が関与していたかである。

 小野寺五典防衛相は9日、省内で日報問題について「防衛省・自衛隊のガバナンスに対する信頼を損ない、隊員の士気を低下させかねない点で極めて重大で深刻だ」と改めて強調した。
 稲田氏は自身の関与について、今年2月13日と15日に岡部俊哉前陸上幕僚長ら陸自幹部と会議で同席したことは認めているが、陸自の日報について報告を受けたことは否定している。特別防衛監察の結果は「日報データの存在について何らかの発言があった可能性は否定できない」とする。
 稲田氏が非公表方針を決定・了承した事実については「なかった」と明記したが、文民統制の点からも重要な「関与の有無」は解明されていない。
 仮に稲田氏が報告を受けていなければ、非開示決定という重要判断に関与していないことになり、省内を統率できていない証しとなる。報告を受けていれば、隠蔽(いんぺい)を主導したことにもなる。陸自からは稲田氏の関与を指摘する証言が相次ぎ、自衛隊という実力組織に対する文民統制が機能していないことが露呈した。
稲田氏の関与焦点 10日に閉会中審査

誰が見ても心証は限りなく「不透明に近いブラック」である。
稲田氏が自分の言動に「一点の曇りもない」のならば、出席して丁寧な説明を行う絶好のチャンスであるはずだ。
それを積極的に説明するのではなく、逃げているということは、黒の濃度を増すだけである。

自民党の国会対策委員長だった竹下亘総務会長は先月末、「稲田氏は辞任という一番重い責任の取り方をした。辞任した大臣を国会に呼び出すことはやってはいけないと判断した」と拒んだ。
訳の分からない説明だ。
「一番重い責任の取り方をした」というのは、非を認めたという意味か?
「辞任した大臣を国会に呼び出すことはやってはいけない」というのならば、議員や民間人ならば可ということか?

こんな理由で招致を拒否していたら、失われた防衛省・自衛隊のガバナンスに対する信頼を回復はできない。
いくら人心一新と言ってみても、不信感が募るだけである。

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2017年8月 9日 (水)

『母と暮らせば』と『シン・ゴジラ』/戦後史断章(27)

長崎に原爆が投下されて72年。
長崎市の平和公園で拓かれた平和祈念式典で、田上富久・長崎市長は、今年7月の核兵器禁止条約の採択を「被爆者が長年積み重ねてきた努力がようやく形になった瞬間だった」と歓迎する一方、日本政府に対し、「条約の交渉会議にさえ参加しない姿勢を、被爆地は到底理解できない」と批判した。
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長崎市長、平和宣言で政府批判 「姿勢理解できない」

被爆地ならずとも、多くの国民が理解できないだろう。
⇒2017年8月 6日 (日):今こそ、主導して核兵器禁止を前に進めるべきだ/日本の針路(325)

去年の1月に公開された『母と暮らせば』は、井上ひさしさんの『父と暮らせば』を本歌とする山田洋次監督作品である。
長崎の原爆で死んだ息子(二宮和也)の亡霊と対話しながら生きる母(吉永小百合)の物語だ。
私は、現実世界(実数的世界)と幻覚の世界(虚数的世界)の複素的世界観の表現だと理解した。
⇒2016年1月14日 (木):母と暮らせば』と複素的な世界観/戦後史断章(24)

ユヴァリ・ノア・ハラリ『サピエンス全史-文明の構造と人類の幸福』河出書房新社((2016年9月)によるまでもなく、われわれは実の世界ばかりではなく、虚の世界にも生きている。
⇒2017年7月22日 (土):仲間ファーストの共謀3・記録を否定する山本地方創生相/アベノポリシーの危うさ(260)

虚の世界の全般的共有は難しいが、部分的な共有はしている。
特に、政治の世界は、吉本隆明が説いたように、「共同幻想」が本質とも言える。
⇒2012年3月19日 (月):吉本隆明の天皇(制)論/やまとの謎(58)
⇒2012年3月20日 (火):『方法としての吉本隆明』/やまとの謎(59)

であれば、「理念」こそが重要である。
日本国憲法の「戦争放棄」規定を虚構・幻想だと否定する人がいるが、その虚構・幻想を地球上に広め、定着させることが重要なのだ。

日本が世に出した代表的なキャラクター「ゴジラ」は、核エネルギーもしくは核兵器のメタファーと考えられる。
⇒2012年10月21日 (日):ゴジラは何の隠喩なのか?/戦後史断章(2)
それは、第五福竜丸事件に触発されて第一作が「水爆怪獣」として設定されたことからも首肯できる。
⇒2011年5月 9日 (月):誕生の経緯と香山滋/『ゴジラ』の問いかけるもの(1)

そして福島原発事故を体験した。
ヒロシマア、ナガサキに次ぐ被曝体験である。
昨年評判になった『シン・ゴジラ』の解読は多様であるが、福島原発事故との関係を抜きにはできないだろう。
⇒2016年8月 1日 (月):『シン・ゴジラ』と福島原発事故/技術論と文明論(60)

今年は、官僚の行動様式が話題になった。
『シン・ゴジラ』の見どころの1つは、官僚機構と危機対応である。
佐川宣寿、前川喜平、藤原豊、柳瀬唯夫氏らの思考と行動が国民の目に晒された。
主権者であるわれわれの判断が問われと言えよう。

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2017年8月 8日 (火)

民主党政権の「顧客満足度」から学ぶ/戦後史断章(26)

このブログを始めて10年。
入院してネットへ接続できなかった期間を除き、基本的には関心の向くままに書いてきた。
当初の想定とはだいぶ変わってきた。
想定していなかった最大の出来事は、やはり東日本大震災と福島原発事故だと思う。
⇒2011年3月11日 (金):大規模地震で日本国はどうなるのか?

私は2012年8月と2016年8月に東北旅行をしたが、2012年の時は、未だ爪痕が生々しい状態であった。
⇒2012年8月27日 (月):大川小学校の悲劇と避難誘導の難しさ/因果関係論(20)・みちのく探訪(1)
去年は直接の被災地へは出向かなかったが、南相馬市出身の知人の話等を聞くと、東日本大震災、とりわけ原発事故からの復興は未だ途上だと感じざるを得ない。

福島原発事故は廃炉の工程の入り口にも立っていない。
規制委の適合性審査は必要条件に過ぎないのに、合格したら可及的速やかに稼働させるというのは明らかに短絡だろう。
⇒2013年7月 9日 (火):規制委の安全性審査は必要条件ではあるが十分条件ではない/花づな列島復興のためのメモ(243)

政治・社会的には民主党への政権交代(とその失敗)が残念であった。
⇒2009年9月 1日 (火):総選挙における「風」と「空気」
政権交代の総選挙の盛り上がりは、戦後史の特筆すべき事象と言える。
自民党政権へのウンザリ感が、空前の風を呼び起こした。

似たような「風」の威力は、最近の都議選でも見られた。
自民党へのウンザリ感の受け皿となったのは、都民ファーストの会であり、民主党の後継である民進党は、戦う前から敗北していたのだった。
⇒2017年7月 2日 (日):都議選の結果は国政にどう影響するか/日本の針路(323)

民進党(旧民主党)は、なぜ、かくも人心から離れてしまったか?
マーケティングにおいて、顧客満足度は次のように表されるという。
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顧客満足度を高めている企業は「事前期待」を掴んでいる

つまり、期待か大きかった分、結果に落胆したのである。
そのガッカリ感が未だに尾を引いている。

現政権不支持の理由の第1位が「首相が信頼できない」であるにかかわらず、支持の理由は「他の政権よりマシ」である。
地方首長選に事例があるように、与野党対決型の選挙では結構反自民側が勝利しているケースが多い。

民進党は細野豪志氏が離党して新党を目指すという。
若狭勝氏の「日本ファーストの会」との合流・統合も噂されている。
どういう形で反自民党政権の受け皿が現実化するのか想定は難しいが、小異を捨てて大同に付くことが必要である。
小沢一郎氏の唱えている「オリーブの木」方式しかないのかも知れない。
次の総選挙では、野党統一候補を何人立てられるかが鍵になると思う。

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